104.ハンバーガー

 ハンバーガーにもいろいろと特徴がある。大手ハンバーガーチェーン店には自分好みのバンズや具材を選択できる店もある。神戸牛を使った非常に高価なハンバーガーもある。ハンバーガーは手軽に食べられることで非常に好きな食べもののひとつである。なぜ手軽かといえば、必要なものが必要な量、パンにはさまれていて、しかも片手で食べることができるからである。この手軽なハンバーガーを手軽でないようにしている店もある。あまりにも多くの具材を挟み、そこへたっぷりとソースをかけてあるのである。防水の紙袋に入れて手渡されるが、どこからどうやって食べればいいのか全く見当がつかない。どの方向を向けても見た目に変化がない。したがって、かぶりつく場所が見当たらないのである。仕方なく適当にかぶりつくが口に入らない。入らないというよりは口に衝突しているだけである。口の周りはソースでべとべとである。ここで始めてしまったと気付く。ハンバーガーを口から離せないのである。口の周りのべとべとをみられるのが恥ずかしい。口を拭く紙ナプキンが見当たらない。これだけのハンバーガーを出しておきながら、紙ナプキンをおいていないのである。あらかじめティッシュを用意すべきであった。ごそごそとバッグからティッシュを取り出し口の周りを拭く。これでやっと一息つける。

 再度ハンバーガーとにらめっこである。口にできそうな場所を探し、そこを上下から手で挟み、押さえ込んで厚みを薄くする。やっと口には入るがソースがたらたらと袋の中へ流れ込む。またも口の周りはソースでべとべとである。いったん袋を口から離したいのであるが、周りの目が気になる。ここでまたもティッシュの出番である。2口目に進めない。また同じことを繰り返すのかと思うと気乗りがしない。ティッシュの残りもわずかである。最後までもたないだろう。そこで考え出したのが、バンズの上、具材、バンズの下という食べ方を繰り返す方法である。この3口分を口の中でミックスする。ハンバーガー本来の醍醐味は半減してしまうが、この際そこは無視することにする。食べようと思えばこれしか方法が考えつかないからである。なぜここまで分厚くするのか? 究極のハンバーガーにするために、あれやこれやとやたら多くの具材を挟んだためか? 単なる「インスタ映え」を狙ったのか? それよりもっといい肉を使って、美味しくて食べやすいハンバーガーを作ってもらいたいものである。

 とは思うのであるが、実はちょっと恥ずかしいここだけの話がある。神戸のあるハンバーガー店で食べ比べをしたことがある。神戸牛と黒毛和牛で作ったハンバーガーである。じっくりと味や脂の風味をかみしめながら食べた。が、まったく区別がつかない。本当に神戸牛なのか? 単なるバカ舌なのか? 高級なハンバーガーを食べる意味があるのか? 等々、いろんな疑問がわいただけの食べ比べになってしまった。

 結局、ハンバーガーは食べやすく安価のもので十分であるということがわかった。