62.コーヒー豆の疑惑

 毎日コーヒーを4、5杯は飲む。喫茶店で飲むこともあれば自宅で飲むこともある。ほぼ半々かやや自宅が多い。喫茶店で飲むコーヒーは、その店独特の焙煎や入れ方があるので、そこはお任せにならざるを得ない。こちらもコーヒーが飲みたくて入ったのではないので、そこはあまり気にすることはない。居心地のいい場所を提供してもらえればいいのである。電源用のコンセントが備わっていればさらにいい。

 ここで取り上げるのは自宅のアトリエで飲むコーヒーである。毎日数杯飲むので、それほど濃いコーヒーを飲むことはない。どちらかいうと、やや浅めに焙煎したコーヒー豆が好きである。苦味よりもやや酸味が強い方が好みである。常時3~5種類がストックされている。ここだけのはなし(【5-1】コーヒー)でも書いたように、保存には炭酸水の入っていたペットボトルを使用している。焙煎して日の浅い豆は、出るガスの量が多いからである。水やお茶用のペットボトルでは、破裂してしまうかもしれない。豆は1種類100g(注1)を豆のまま購入する。通常は2種類を100gずつ購入するが、ときに3種類購入するときがある。これらを空になったペットボトルに入れていて、「あれっ」と、気になったことがある。通常購入するのは、浅煎りの豆が多いので気がつかなかった。この日は浅煎り、中煎り、深煎りと3種類を購入した。深煎りの豆をストレートで使うことはめったにない。他とのブレンド用である。この日購入した浅煎りの豆はエチオピアであった。これは豆が小さいため、豆同士の隙間が小さくぎっしりと入るので参考外とした。残った中煎りと深煎りの豆である。これらはともに同じような大きさの豆である。したがって、豆同士の隙間に関しては同じようなものである。これらをペットボトルに入れると、容積が明らかに違うのである。深煎りの豆の方が量が多いのである(水分が減ったため?)。確認のため計量したがどちらも同じであった。素直に喜んでいいものなのか、それとも単なるぬか喜びなのか? (1杯分のコーヒー豆を挽くために、計量スプーンを使っていれば喜んでよいが、重さを計っていれば変化なしだが、わが家では計量スプーンを使っている)

 これはひょっとして、とんでもないことを知ってしまったのかもしれない。気がついてはいけないことだったのかもしれない。それからというもの、深煎りの豆を購入できないでいる。深煎りの豆を購入することで、意識的に店に損害を与えている気がするのである。このようなことが起きていることを店側は知らないと思う。そうであれば、豆を余分にかすめ取っているに等しいのである。もし、重量と体積のことを知っている店であれば、おそらく浅煎りの豆を多品種置くだろう。浅煎りの豆は味のバランスがよく、マイルドで香りもすばらしい・・・等、いいことを並べ立てるかもしれない。

 以来、コーヒー豆を購入する際は、豆の品種ではなく焙煎度合いが気になってしょうがない。

注1:コーヒー豆の販売は重量である。小豆や大豆を枡に入れて、棒でならして摺り切り1杯というような売り方ではない。したがって、体積ではなく重量での販売ということになる。