家庭菜園とPC

 土には細菌が無数というよりは無限といってもいいくらい存在する。有機肥料は細菌によって無機化され植物に吸収される。落ち葉や収穫後の残渣(茎や葉)も土に埋めておけば分解されてしまう。これらは数年の時間をかけて徐々に行われるのでまったく気が付かない。ところがこれを一気に行うと、相当な変化が実感できる。菜園の片隅に糠、肥料、落ち葉や土を混ぜ、適度な量の水をかけてシートで覆っておくと、数日で発酵が始まる。真冬でも50℃程度まで温度が上がる。湯気をもうもうとあげる。土中の細菌のパワーである。このように発酵させたものは、そのままのものより植物が吸収しやすいので、素晴らしい肥料となる。

 土の中では毎日これの小規模な発酵が行われているのである。したがって、葉っぱや茎が残っても、土に埋もれていればいつの間にかなくなってしまい、次に栽培する野菜の肥料となる。これほど強い細菌たちが多く存在するにもかかわらず、雑草やさまざまな野菜のこぼれ種は、きっちりと翌年に芽を出す。種は硬い皮で表面を覆われているので細菌から身を守ることができるのであろう。種と比較すると、ジャガイモなどは非常に軟弱そうに見えるが結構タフである。完全に収穫できず、小さなものを取り残したとき、翌年には同じところから発芽している。半年以上土の中にいたにもかかわらず、元気に生きていたのである。よほど条件がよかったのかと思われるが、結構よくある現象である。しかし、残念なのは、野菜の多くは連作障害という問題をかかえていることである。これは、同じ場所で同じ種類の野菜を栽培しても育たないというものである。したがって、発芽してもジャガイモはほとんど実が付かない。発芽するという生命力は実感できるが、実を付けるという成長力は実感できないのである。特にエンドウマメなどでは4、5年間、同じ場所では栽培できない。このような理由で、気ままにやっているように見える家庭菜園でも、結構気を使った場所のローテーションを組んでいるのである。狭い菜園を細切れにしての作業である。これはあくまでも地上だけを見た作業であり、地下の根がどの程度広がっているかはお構いなしである。それでも大きく影響が出ていないところを見ると、それなりに正しい区分になっているのだろう。

 菜園は15区画(1区画をさらに2分割)に分けて管理している。品種によっては連作可能なものや、1年から5年の間隔が必要なものといった幅がある。これらを年間20~30種類栽培するのである。したがって、どうしてもパソコンを使っての管理が必要となる。体力だけではどうにもならない家庭菜園の難しさがある。