カマキリ(その3)

 先日、ピーナツの成長具合を確認していたところ、5cmくらいのカマキリを発見した。その数センチ先にはオンブバッタがいた。大きさは3cmくらいである。オンブバッタは何をするわけでもなくただじっとしていた。感じとしてはカマキリの存在に気がついていないようであった。いや、気付いているのであるが、全身金縛りにあい、動けなかったのかもしれない。「蛇に睨まれた蛙」状態のようにも見えた。菜園用語にすると、「カマキリに睨まれたオンブバッタ」ということになるのだろうか。

 カマキリは明らかに獲物を狙う姿勢をとっていた。鎌をしっかりと閉じた状態で振り上げ、いつでも飛び掛かって一瞬で挟み込める態勢を取っている。この両者の並々ならぬ気配に気がついたので、大急ぎでカメラを取りに行き、捕食の瞬間を待ち構えていた。長時間かけて、ゆっくりゆっくりと獲物に接近し、じっとチャンスをうかがっていたのだろう。オンブバッタを見つけてから、相当な時間を要して接近したと思われる。完全に射程距離に入ってからもなかなか動かない。何がどう問題なのかはわからないが、条件がわずかながら合わないのだろう。観察を始めて数分経った頃に動きがあった。獲物を捕獲する瞬間は見ていたのであるが、早すぎてよくわからなかった。動いたことは分かったが、鎌がどのように動いたかはわからなかった。気がついた時はしっかりとオンブバッタを捉えていた。捕食はほんの一瞬であった。オンブバッタに横から一気に鎌で胴体を均等に抑え込んだ。これではまったく身動きができない。素早く邪魔になる後ろ脚を食いちぎり、そこからむしゃむしゃと食べ始めた。獲物は自分の大きさの半分以上もあるので、食べつくすまでには30分という時間を要した。完食である。

 獲物を捕獲するチャンスは何度もあったのかもしれない。菜園主がカメラを取りに行っているのを知って、戻ってくるまで待っていてくれたのかもしれない。おかげで、すばらしい写真を撮ることができた。今年の「菜園ベスト貢献賞 害虫除去の部門」はほぼ確定であるが、食べ終わった後、行き先を告げずにどこかへ行ってしまった。表彰状を授与できないのが残念である。