ナメクジの不思議

 ナメクジは好き嫌いなく、なんでも食べるものと思い込んでいた。菜園内で食べられそうなものは片っ端から食べつくしている。食べるといっても、強力な歯があるわけではないので、柔らかいものが主である。カボチャやスイカに穴をあけて食べるようなことはない。トマトは柔らかそうではあっても、表面の皮が固いので意外と食べられることはない。イチゴのような表面も中身も柔らかいものが標的にされる。葉物は全般的にその対象である。ただ、ホウレンソウやシュンギクのような癖のあるものはあまり好きではないようである。

 先日、菜園内に彩をと思い、ペチュニアとミリオンベルを植えた。ペチュニアは色が違うものを3種類植えた。ここで珍事件が起きた。花の色が違うだけであるにもかかわらず、ある1種類のペチュニアだけがナメクジに食べられるのである。花も葉も毎日のように食べられるのである。花の蕾も食べられるので何色の花が咲くのかさえいまだに分からない(購入時の記憶が確かなら、薄いピンクの蕾が付いていたように思う)。他のペチュニアにも、ナメクジが這った跡がキラキラと付いているのであるが、食べた形跡はない。味に違いがあるのか、それとも単なる気まぐれか?

 葉物野菜で最も困るのはハクサイである。表面だけを食べるのなら一向にかまわない。あまりにもひどく食べられていれば、表面の数枚を捨てればいい。そうでなければそのまま水洗いをすれば十分に食べられる。問題はハクサイそのもの形状にある。巻きが弱すぎるのである。キャベツのようにぎっしりと巻いていれば問題はない。ハクサイはキャベツに比べると巻きが緩いのである。表面の葉を食べて穴をあけると、その中へ入り、葉の付け根のところへ移動して、そこを拠点に活動を始める。葉をめくると、軸に近いところにナメクジの糞が大量に落ちている。表面を見ただけではまったくわからない。表面に近いところの葉は汚れているので数枚取り除くと、そこにナメクジが潜んでいるのである。えっ、こんなところにナメクジが・・・・。ここまで? それとももう1枚先まで? ひょっとしてもっと芯に近いところまで? こうなると、すべて葉をめくって調べてみないと安心できない。これを経験したため、ハクサイは一度栽培しただけで二度と栽培する気が起きない。

 ハクサイの葉を1枚1枚めくって水洗いをして、調理しているようなレストランを見たことがない。丸ごと半分に切り、それをさらに半分にする。そして適当な大きさでざく切りである。そのまま鍋やフライパンに入れれば出来上がり。あれっ、なぜかこの料理にとろみがついている・・・、と思ったら要注意かも? 一般に売られているハクサイは、十分な量の農薬を使っているのでこの心配はない。ただ、ハクサイは最初から巻いているのではなく、一旦大きく開いた葉が、ある条件がそろうことでじわじわと巻いてくるのである。この開いているときに農薬をかけられるとそのまま巻いてしまうことになる。しかし、残留農薬については収穫までに十分な期間があるので大丈夫だろう、と思う。決められた時期に決められた量の農薬を撒く分には問題ないということになっている、らしい。「耕地あたりの農薬使用量を見ると、実は日本は世界一です」(野菜が壊れる:新留勝行)、などという文章を目にすると・・・。

<ささやかな彩>

 

<さて、何色でしょうか?>

 

<どうして食べないの?>