ハタケニラ(完結編)

(その1)

 「ハタケニラの恐怖」に書いたように、この雑草の恐ろしさは十分に伝わったと思う。十分すぎるくらい伝わったところで、実作業を行っている菜園家にとっては何の役にも立たない。最も必要とするのはその撃退方法である。「ハタケニラ撲滅作戦」で「塩」による撃退方法を書いたが、これでは時間がかかりすぎるという欠点がある。もっと確実に素早く対処する方法はないのか? と、自らに問い続けてきた結果、さらに素晴らしい撃退方法を見出した。

 無農薬でかつ、周りの植物に危害を加えずに処理をしなければならない。菜園内のいたるところに生え、周りには有用な野菜や果樹がある。そのような中で、ピンポイントで退治するのである。いろいろ考えた中で、最も有効でかつ秒殺な方法は熱湯による処理である。この植物は「ハタケニラの恐怖」でも書いたように、生命体である球根が地中深くに存在する。これに熱湯を掛けて死滅させるのである。そこで、これが生えている部分に直径2cmのパイプを5cm(注1)程度の深さまで差し込み、その部分の土を取り除く。そこへやかん(注1)で沸かした熱湯を1リットル程度注いだところで放置する。わが菜園の土は粘土質であるために全部のお湯が浸透するまでに時間がかかる。この作業を実施するには一つだけ条件がある。それは晴天が数日続き、かつ当日も雨が降らない日を選ぶことである。土に熱湯を注いだ時に少しでも温度が下がらないようにするためである。これで熱湯攻撃がより完全になる。  

注1:ペットボトル(2リットル)を半分にしたものを差し込み、菜園内へ持ち込んだカセットコンロで湯を沸かしながら、ペットボトルに順次お湯を注いでいってもよい。

<すくすく育つハタケニラ>

 

<根本へ熱湯を注ぐ>

 

(その2)

 葉が地上に出ている部分を切り取ると、翌日には1センチ程度伸びている。もし、球根が死滅していないとすると、1、2週間後には新しい葉が出てくることになる。その期間が過ぎても葉が出てこなければ確実に球根とその周りについた子球根が死滅したものと断定してよい。こんなことをせずとも、球根を掘り出せばいいではないかという意見もあると思われる。しかし、ハタケニラの恐怖で書いたように、もし死滅していなければ、周りに付いていた子球根が散らばって収拾のつかない結果を招くことになる。それを避けるためにも、時間をかけて確認する方を選択した。

 熱湯攻撃から2週間が経過したが、それらの部分からは全く葉を出すことはなかった。これで第一段階は成功である。第二段階を経て完全に撃退を確認することができる。それは10月である。10月ごろになると、地中で眠っていたハタケニラがむくむくと活動を開始し、地上へと葉を伸ばし始めるからである。熱湯攻撃で一時的に休眠状態になっていることも考えられる。この間に英気を養い、傷をいやして、秋に一斉に発芽するかもしれない。この時期に発芽が確認されなければ完勝である。この方法であれば、大量に発芽したハタケニラであっても、他の植物に影響を与えずにピンポイントで退治することができる。今後はこのペットボトルを、あちこちに生えているハタケニラに差し込めばいい。わが菜園からハタケニラを一掃できる日も近いだろう。

<影も形もなし?>

 

(その3)

 さて、熱湯攻撃の効果を最終確認するときが来た。時は10月、あちこちでハタケニラが顔を出し始めている。6月に熱湯攻撃を行った3か所の状況はどうか? 恐る恐る様子を見る。おめでとうございます。ハタケニラは1本として生えていない。これで熱湯攻撃の効果が実証されたことになる。今後は目に付くところのハタケニラを順次退治していくこととする。菜園内からハタケニラを一掃できる日も近い。苦労の多い菜園作業で、久しぶりに喜びを感じる瞬間である。これで心置きなく菜園内をピアンタ(ホンダ製耕運機)で縦横無尽に走り回れる。きっといい野菜が収穫できることだろう。

 

追記:今回の一件で、広範囲に生えた雑草を処理する場合は無理であるが、ピンポイントでの処理には熱湯を使用することにしている。無農薬にこだわれば、これが最良の方法だろうと思われる。次のターゲットは、菜園の片隅に生えたドクダミにしようと思っている。