ハエ取り紙

 ハエ取り紙と聞いてもわかる人は少ないだろう。ましてや初期のハエ取り紙を知っている人はさらに少ないだろう。今はハエ取り紙とは言わず、ハエ取りリボンという名称で売られている。しかし、ドラッグストアで「ハエ取り紙をください」というと、何のためらいもなくこのハエ取りリボンが出てくる。ハエ取りリボン=ハエ取り紙なのである。今の時代に、これを使用してまでもハエを取らなければならないような場所があるのだろうか? 魚や肉、生鮮食品売り場でこれをぶら下げて商売をし、これにびっしりとハエが捉えられているような店では買い物をしたくない。

 ハエ=不衛生 という等式が成り立つ。今の家庭でこれをぶら下げているようなところはないと思う。にもかかわらず、ドラッグストア等で売られているということは、それなりの需要があるのであろう。誰が購入するのか興味深いところである。そんなハエ取り紙を大量に購入しなければならない事態になった。わがアトリエにガが大量に発生したのである。数年前から、少しずつガの発生する数が増えつつあった。最近では気になって創作活動に支障をきたすまでになった。アトリエには作品製作用に大量に木材が保管されている。その木材が原因で発生したのではないかと思われる。今のところその原因はどうでもよく、とにかく大量に発生したガを全滅させることが先決である。羽化したものが産卵するまでに全数捕獲してしまえばいいのである。毎年梅雨の始まる少し前から発生しだす。

 梅雨前にハエ取りリボンを大量に購入し、狭いアトリエ内に15本吊り下げた。何もなくても動きにくいアトリエ内が、さらに動きにくくなった。天井が低いのでその障害物感はさらに増した。何度もハエ取りリボンが髪の毛にくっついた。ネバっとしたノリが髪の毛に残る。ティッシュで拭き取っても若干ねっとり感が残る。何度もそのような不快感を覚えるのであるが、どうしても避けきれない場所がある。毎回のようにそこで髪の毛をくっつけてしまう。気を付けているのであるが、つい気が抜けた時にくっつけてしまうのである。

 このガには特別な行動というのがあるように思われる。じっくりとその行動を観察したわけではないが、15カ所に吊下げたハエ取りリボンにくっついたガの数に大きな差があるからである。ある場所のハエ取りリボンには23匹、またある場所は1匹(3か所)と、非常に大きな差があるのである。きまぐれにパタパタと飛んでいるように見えるガであるが、どうもお気に入りのコースがあるようである。電気の点いている明るい場所が有利かというとそうでもない。やはり木材置き場の棚に近い辺りに多くくっついている。

 今年は梅雨前からハエ取りリボンを設置したので、発生したガはすべて産卵前に捕獲できたと思われる。その数114匹である。これでアトリエ内での産卵ということは考えられないことになる。来年が楽しみである・・・。がしかし、まさかとは思うが、産卵した後に飛び回っていたということはないだろうか? 114匹の半分が雌として、それぞれが数百個の卵を産んでいれば・・・。来年はガで前が見えなくなってしまうかもしれない。

<エアコン前は特等席?>

 

<カーテン前は意外に人気スペース>

 

<全員集合!>