竹スプリング

 竹というとどのようなことを思い浮かべるだろうか。最も一般的なのは、「竹を割ったような性格」といったようなことではないだろうか。まっすぐに伸び、割れば真っ二つにきれいに割れることからイメージするのだろう。しかし、実際に竹を割ってみるとわかることだがかなり癖が強い。丸い竹を二つに割るときは、ほとんど真っ二つといっていいくらいきれいに割れる。しかし、さらに2等分しようとすると、徐々に節を通過した瞬間に一気に割れる方向が変わる。さらに割っていくと、2等分ではなく9:1、あるいは10:0になってしまうこともある。決してきれいには割れないのである。このような経験をすると、竹を割ったような性格という表現を見たり聞いたりすると、何等分あたりの性格なのかな、ということが気になってしまう。4等分あたりを過ぎると癖が出だす。8等分以降だと、かなり癖の強いゆがんだ性格を思い浮かべてしまう。

 竹をそのような悪いイメージから解放しようと、長さ方向に対して垂直に切ってみた。単なる輪切りではなく、らせん状に切ってみた。スプリングのようになる。上部を固定し垂らせば自重でスプリングのように見える。こうすれば癖の悪さを気にせず、竹の美しさを鑑賞することができる。竹や木は丸いままで乾燥させると、必ずといっていいほど割れが生じる。表面と内側で乾燥による縮み具合に差が出るからである。このようにらせん状に切ることで割れも防ぐことができる。

 さて、ここからが本番である。これをどのようにして何に使うか。このままぶら下げておいてもそれなりにインテリアにはなるのであるが、どうもこれだけではインパクトに欠ける。そこで、この竹スプリングの上部にペットボトルを入れ植木鉢にした。もちろんここに植えるのは、だらりと下に伸びる観葉植物である。こうすれば、竹スプリングから湧き出ているように見える。竹も最初はきれいな緑色をしているが、しばらくすると枯れて黄土色になる。そうするとこの緑や茶系の観葉植物とよく合う。観葉植物越しに竹スプリングがちらっと見えるところに、何があるのだろうかと不思議な気分になる。長さが70cmあるので、低いところでは見栄えがしない。そこで、ぶどう棚に吊るすことにした。何とも涼しげな景色を提供してくれる。連日の真夏日ではあるが、気持ちは薫風香る5月といったところである。