その19

<19-1>部長、その恋愛はセクハラです(牟田和恵)

幻想や錯覚がなければ、世の中には恋愛などほとんど生まれず、だれも結婚にもいきつかない。それに、幻想や錯覚があるからこそ、恋愛からは素晴らしいものも生まれます。

<19-2>上達の法則(岡本浩一)

人には、成功したときに喜ぶ気持ちと、失敗したときに悔しがる気持ちの二つがある。初心者、中級者は、うまくいったときに喜ぶ気持ちが強く、それが成長の原動力となっている。けれども、上級者は、失敗したときの悔しさが、うまくいったときの喜びをはるかに上回るのである。

<19-3>生物と無生物のあいだ(福岡伸一)

飢餓による生命の危機は、エネルギー不足のファクターよりもたんぱく質欠乏によるファクターの方が大きいのである。エネルギーは体脂肪として蓄積でき、ある程度の飢餓に備えうるが、たんぱく質はためることができない。

<19-4>京都人は日本一薄情か(倉部きよたか)

京都人の一番嫌いな種族、それが大阪人なのである。京都人は、大阪人は文化が低い、と鼻であしらう。大阪人は、京都人をプライドが高いといって避けたがる。油と水、相容れない。よく似た言葉をしゃべるのだが、京都人は大阪人を微妙にかぎ分ける。

<19-5>トヨタモデル(阿部和義)

「いずれ自動車は電子部品で優劣がつく。内製化しないと単なるアセンブリーメーカーになり下がってしまう」

<19-6>原発と日本の核武装(武田邦彦)

福島原発から大気に放出された放射能物質は100京ベクレルと推定されています。京は億の1億倍ですから、1億の100億倍になります。したがって、5億ベクレルで割ると、20億人の致死量にあたることになります。つまり1、3号機の爆発によって日本の大気に放出された量だけでも1億2000万人の日本人を16回以上殺害するという量なのです。でも実際には漏れた放射線物質は上空に上がった煙に含まれていましたので、大半は太平洋に行き、また人のいない海や山などに飛散したのでひどいことにならなかったのです。


<19-7>産科が危ない(吉村泰典)

ピルというと避妊のために服用すると考える人が多いが、効用はそれだけではない。”月経周期が28日できちんとコントロールできる”、”月経痛が軽減され、出血量は半分くらいになる”、”ニキビや肌荒れを改善する”、”卵巣がんや子宮体がん、骨粗鬆症、不妊症の予防になる”などの効果がある。現在、ピルを服用している女性の約7割が、避妊以外の目的でピルを使用しているほどだ。

<19-8>世界奇食大全(杉岡幸徳)

日本では馬刺しなどでよく食されている馬肉。これは、とくにイギリスやアメリカでは絶対タブーである。アメリカの下院などは、ウマをほふることを禁じる法律を可決しているほどだ。

<19-9>環境問題のウソ(池田清彦)

われわれは誰でも1回呼吸するたびにダイオキシン分子を1億個ほど吸い込んでいるが、1億個という数字に驚いてはいけない。分子1億個なんてほとんどゼロに等しいのだ。

<19-10>退いて後の見事な人生(童門冬二)

「水よく舟(しゅう)を浮かべ、水よく舟を覆す」というのがある。如水も漢学に詳しいからその出展は知っている。「君は舟なり、人は水なり。水はよく舟を載せ、またよく舟を覆す」と荀子が言ったものだ。「政治を行うものが善政を行っているときは、水にたとえられる人民もよく支えてくれる。しかしいったん悪政を行えば、水である人民は波を立てて騒ぎ、挙句の果ては治者である舟をひっくり返してしまう」

<19-11>「30分遅れます」は何分待つの?経済学(佐々木 一寿)

マリッジブルーについて具体的にいうと、選択肢とは「もしかして、もっと素晴らしい人がいるかもしれない」と思ってしまうことです。ここで、選択肢の多い人とはどんな人でしょうか。現在、そして将来も選択肢を多く持っていそうな人は、モテるひとだといえます。つまり、モテる人ほどマリッジブルーに苦しみやすそうということです。この症状がひどくなることで、結婚の決意が揺らぐとすれば、モテる人ほど婚期が遅れるという可能性があるわけですね。

<19-12>食べても平気?BSEと食品表示(吉田利宏)

不正表示を見破る技術も日に日に進歩しています。特に見破りにくかった原産地や品種に関する不正表示に、新しい技術が力を発揮します。まず、DNA解析による判定法です。DNAはすべての生物の細胞にあり、遺伝情報を持っています。この技術を使えば、肉眼では見分けにくい切り身になった肉や魚などの品種の違いも判別可能となります。野菜などの農産物の原産地を特定する検査方法として、無機元素情報による判別法というものもあります。この方法は、野菜などに含まれる、カリウム、鉄、マグネシウム、亜鉛などの無機元素の含有量を調べ、原産地を割り出すものです。

<19-13>人を見抜く(渋谷昌三)

顔の左半分の方が右半分よりも感情が表れやすいことが実験によって立証されている。

<19-14>コクと旨味の秘密(伏木亨)

一番傑作だったのは、内緒だけど、売れ残った赤ワインにほんの僅か醤油を滴下。これだけで見事なコクのワインに変身して喜ばれた。たちまち完売。大昔の話ですがね。

<19-15>経営に大局をつかむ会計(山根節)

私はリーダー、特に企業経営にかかわるリーダーにとって必要な情報リテラシーは、「経営の3言語」の能力だと常々いっています。経営の3言語とは、自然言語、機械言語、会計言語の3つです。自然言語とは、一義的に母国語を指します。日本語がキチンと話せない人は、職人には向いていても組織のリーダーには向きません。それは確信を持っていえます。私は経営者の著作をよく読みますが、私に言わせると著名な経営者は「優れたコピーライター」です。機械言語とは、コンピュータ・リテラシーのことを指しています。そして、3番目の情報リテラシーが、もう1つのプログラム言語、会計言語の能力です。会計も経営に関する情報を収集し加工し発信する手段、という意味では言語なのです。

<19-16>そもそも株式会社とは(岩田規久生)

取締役は会社に対してだけでなく、「悪意」や「重過失」により、他の会社や人などの第3者に損害を与えた時にも、損害賠償責任を負っている。しかも、取締役が負った損害賠償責任は相続されますから、取締役が生前に賠償しきれなかったときには、その相続人が残りの損害賠償金を支払わなければなりません。

<19-17>チーズの悦楽十二カ月(本間るみ子)

フランスの場合、「モン・ドール」の製造が許されているのは毎年8月15日から翌年3月31日まで。熟成は最低でも3週間、通常は4週間ほど必要なので、旬の走りが店頭のお目見えするのは早くても9月。

<19-18>食をめぐるほんとうの話(阿部尚樹、上原万里子、中沢彰吾)

調理に使われる糖分は見逃されやすいのですが、和食は世界中の料理の中で最も砂糖を多く使います。それはインドやイタリアの食の専門家が驚くほどの量であることを覚えておきましょう。イタリア人が食後にティラミスなどの甘いデザートを必ず食べるのは、料理に砂糖が使われていないからです。特に市販の煮物などでは、味を調えるためと腐敗防止のため砂糖がより多く使われているものがあります。

<19-19>りんごが教えてくれたこと(木村秋則)

野菜というのは奇妙な行動をします。みなさん、お気づきかわかりませんが、大根は種を植え根が生えた後、収穫するまで毎日動いています。でも別に植えたところから出てきて動いているわけではありません。その場で毎日少しずつ回転しているのです。大根を抜くとあとが螺旋になっています。大根はまっすぐに刺さっているのではなく、ボルトのように回りながら土の中に入ってきています。だから、大根を抜く時は逆をやればよく、西から東へ回せばいいのです。すると大根はスムーズに引き抜けます。人参も同じです。タンポポも動いています。だからまんべんなくお日様があたります。根も葉っぱもついたまま全体が動いているのです。

<19-20>即戦力の磨き方(大前研一)

ボーダレス経済では、繁栄するのは国ではなくあくまで地域だし、投資の単位も国家ではなく地域なのである。

<19-21>パリの職人(吉村葉子)

鉛筆のことはクレイヨンといって、書き方の時間はおろか、算数や理科の時間にも使わない。どうして使わないのかと小学校の先生に尋ねたら、消せるものはダメだという答えが返ってきた。その辺のところにも、鉛筆とシャープペンシルで学ぶ私たち日本人と、ボールペンと万年筆で学ぶフランス人の価値観の違いがありそうだ。

<19-22>おどろきの心理学(妹尾武治)

選挙におけるSNSの活用は始まったばかりだが、今後SNS上で政治関連情報の操作が行われてもおかしくない。我々国民は、意識して警戒せねばならないだろう。人間は無意識のうちに自分の感情、気分までをも他者によって操作されている。自分の意思で元気でいようとか、明るくいようと思ってもなかなか難しい一方で、Facebookの他人の投稿で気分が変わってしまう。非常に怖い問題だと思う。

<19-23>組織行動の「まずい!!」学(樋口晴彦)

戦国時代にはさまざまな大名家が滅びていったが、主君の独断専行が滅亡の原因となった事例は案外少ない。むしろ主君がイニシアティブを取らず、重臣会議で家中の戦略方針を決定していた大名ばかりだ。

<19-24>見える化(遠藤功)

「見える化」と人の評価を直結させてはいけないということである。「見える化」はあくまで現場の業務品質を上げ、問題解決を進めるための思想であり、手法・道具である。「見える化」は「人をつくる」ためのものであって、「人を評価する」ためのものではない。

<19-25>残念な人の思考法(山崎将志)

ギャンブルでいくら勝つと怖くなるか? 1万? 10万? 100万? 1000万? それがあなたの限界である。実はお金も、財布や銀行口座の中ではなく、あなたの頭の中にある。