さみしがり屋のトウモロコシ

 最近のトウモロコシは恐ろしいくらいの甘さがある。品種改良のたまものであろう。家庭菜園で植える場合、どのような品種が甘いトウモロコシかがわかる方法がある。それは、種のシワを見ればよい。ポップコーン用の種はつるりとしてハリがある。しかし、家庭菜園で植える種はシワシワである。信じられないくらいシワシワである。しなびて発芽しないのではないだろうかと思えるくらいである。このシワが多い種ほど甘いトウモロコシがなる。せっかくのおいしいトウモロコシも、植え方次第では収穫が激減する。それはトウモロコシの性格にある。トウモロコシは単体では実が付きにくい。他家受粉(他の木の花粉で受粉する)であるため、成長のそろった複数の苗を植える必要がある。植え方も独特で、1列に植えるのではなく、2、3列に固めて植えることで受粉をしやすくしてやるのである。トウモロコシの髭の1本1本が、1個1個の実につながっている。したがって、トウモロコシを購入する場合は、髭の多いものを購入すれば、実がたっぷりと入っているということになる。栽培でもう一点気を付けなければならないことは、同じ品種しか植えてはいけないということである。品種が混合すると、キセニア現象(花粉の影響が種の中の胚乳に直接あらわれる)が出てしまう。ポップコーン用を一緒に植えたりすると、甘味のないトウモロコシができてしまう。甘い焼きトウモロコシとポップコーンを一緒に楽しもうなどと企てると、全くどうにもならないものが大量にできることになる。レンタルの家庭菜園などでは、近隣に注意が必要である。トウモロコシは1本の木で実を1本しか育てない(最近の育成方法では、数本というものもあるが実が小さくなってしまう)。2、3本目が出てくるが、これはヤングコーンとして収穫する。その時、髭は捨てずに乾燥させ焙煎したものを、お茶として飲むことをおすすめする。ほんのりとトウモロコシの香りがしておいしい。冷やして飲むとさらにいい。トウモロコシの髭は南蛮毛といって、漢方薬の一種である。

 家庭菜園でトウモロコシを栽培した後は、次に栽培する野菜には十分な肥料を施すことを忘れないようにしたい。トウモロコシは肥料食いで吸肥力が強い。地中の肥料をすべて吸収してしまう。クリーニング作物といわれるゆえんである。

 収穫したトウモロコシは、茹でてよし、焼いてよし、スープもいい。いろいろと食べ方を楽しむことができる。

 

<マメ知識>スーパーなどで、黄色と白の2色の粒が混ざったトウモロコシを見かけることがある。これはメンデルの法則に従い、両色の粒の数は必ず3:1の比率になっている。

 

<消毒&着色された種>

 

<集団開花>

 

<完熟>