種苗法改正

 「10年以下 又は/併科 1000万円以下(法人は3億円以下)」の刑に処す。

 こんな文章を見ると、「どれほどの大罪を犯せばこんな刑に処されるのか?」、という思いがするであろう。ところがこれが、日本中で日常的に行われていることである、といわれるとどうだろう。

 日本で生み出された「とちおとめ(イチゴ)」(平昌オリンピックのもぐもぐタイムで有名になった)や「シャインマスカット(ブドウ)」などの優良ブランド商品が海外へ持ち出され、そこで生産されているという。ゲームや音楽なら海賊版といったところか? 知的財産としてこれらを守ろうというのが趣旨らしい。種苗法の改正とは、具体的にはどのような内容になっているかというと、「植物の新品種の保護と種苗の適正な流通を図る」ということらしい。素人が読めば読むほどわからなくなり、混乱するのが法律である。それでも気になったので、さらっとざっくり読んでみた。四角四面に、そしてかつくそまじめにこれを実行すると、家庭菜園はできなくなってしまう。原則的に採種が禁止されているのである。そして、その品種が法律で守られている種かどうかを検索しなければならない(2018年現在で350種程度ある)。そこまでして野菜や果物を育てる意味があるのだろうか? 小さな家庭菜園で野菜を作って、10年以下の懲役と1000万円以下の罰金を併用されたのではたまったものではない。どんどん勝手に増殖しているハタケニラ(菜園日記参照)は、当然のことではあるが、現在のところ指定種にはなっていない。まさか指定品種のなるとは思わないが、今後も予断を許さない。これが指定されれば間違いなく「有罪」である。

 この法律は、営利を目的に増殖をすることが基本になっているので、自宅で栽培し、自宅で消費する分には問題ないようなことが書かれていた。しかし、ご近所へ種や苗をおすそわけする場合は、厳密にいうと引っ掛かかることになる。

 「農らり、食らり、飲~んびり」とは暮らせない世の中が近づいているのかもしれない。もしそうなれば、このホームページもタイトルを変えなければならない。そろそろ考え始めておいた方がいいかもしれない。

 そんなことを思っていると、最近読んだ本に気になる内容があったので調べてみた。そこには次のように書かれていた。「食をコントロールする者が人民を支配し、エネルギーをコントロールする者が国家を支配し、金融をコントロールする者が世界を支配する」(日本が売られる:堤未果)

 どうやらもっと大きなところで何かが動いているような気がする。