コケ(その2)

 以前コケについて書いた。盆栽の水分保持のため、植木鉢全面にコケを張った。最近の夏は異常といえるほどの暑さである。遮光ネットを掛けなければならないくらい日が強い。しかしこれを掛ける手間とメンテナンスを考えると一気にやる気がしぼんでしまう。直射日光が強い日であれば、散水は日に2度必要になる。これはこれで大変である。そこで植木鉢全面に苔を張ることにしたのである。

 しばらくは順調に緑のじゅうたんのようにふわふわとしていた。ところが真夏のきつい直射日光が当たると、一斉に茶色に変色し枯れたようになってしまった。しかし、ふわふわ感はそのままで保水力は残っているように思われた。そのため撤去することなく張り続けていた。おかげで散水は夕方の一度のみで夏を乗り切ることができた。

 9月も中旬になると、暑いとはいっても日中の日差しはやや威力がなくなってきた。それと同時に朝夕はやや涼しさを感じるようになった。そんなある日、コケの異変に気が付いた。ところどころに緑色をしたコケが生えていたのである。それから数日すると緑の部分はさらに増え、復活の兆しが見え始めた。てっきり枯れてしまったと思われたコケであったが、見事に復活し始めたである。広葉樹は春に芽吹き、夏に最盛期を迎え、秋に紅葉し、冬に葉を落とす。わが家のコケは全く逆をいくようである。広葉樹が最盛期を迎える夏に茶褐色になり、秋に向かって緑色を増してくる。おそらくコケの種類によってまちまちなのであろうが、わが家のコケはこんな感じである。道路わきに生えていたので、生命力は保証付きであるが生態についてはよくわからない。盆栽の乾燥対策で導入した程度で、それほど興味を持っていないのでこれ以上の深入りはしていない。というよりはしないようにしている。おそらく性格上、調べ出したらコケにどっぷりとはまってしまいそうな気がしてならないからである。これ以上趣味を増やしたくないというのが本音である。

 冬、葉が落ちてしまった盆栽が、一面緑のじゅうたんからにょきっと生えているのはなかなか見事な景色である。とりあえず今のところはこれで満足しておこう。

<枯れたふり?>

 

<見事復活!>