その3

<3-1>管理者革命(畠山 芳雄 )

管理者にとって、永遠にして不変のテーゼは、歴任する一つ一つのポストで、少なくともひとつ以上の、その組織にとって意味のある仕事、業績を残して歩くことである。

<3-2>財務を制するものは企業を制す(井原 隆一)

『悲観論者から買い、楽観論者に売れ』とは、利殖の鉄則である。

<3-3>人間通になる読書術・実践編(谷沢永一)

私は、数字というやつにはよく騙される。特に自分で数字を並べている時にだ。こんな時、ディズレイリーが言ったというあの言葉が、なるほどそうだと痛切に感じられる。『嘘には三つの種類がある。ただの嘘と、真っ赤な嘘と統計だ』

<3-4>能力主義と企業社会(熊沢 誠)

結局、仕事の能力というより、いつでも会社の思い通りに働ける人が人事でも優先される 。

<3-5>大河の一滴(五木  寛之)

マンフォードという思想家が、自分を愛していない人間は他人を愛することができない、といっています。自分を憎んでいる人間は他人を憎む。自分を軽蔑している人間は他人の命も軽蔑する。だからたとえ幼稚な愛であっても、人はせめてナルシシズムからでも出発するしかないのではないか、と。

<3-6>孫正義大いに語る(竹村健一)

本当にリーダシップを発揮しようと思えば、重要な順に三つ、僕が思っていることがあります。まず一番最初に重要なのが、理念と志。二番目に重要なのが、ビジョンです。似たような言葉ですけれど違います。そして三番目が戦略です。これがリーダシップを発揮していく人、事業を興す人が持つべき重要順の三つのポイントだと、思っています。

<3-7>メディア資本主義(高橋文利)

現代官公庁や大企業のほとんどはインターネットでホームページを開設している。報道機関による情報の独占、特権的なアクセスがすでに崩れているのだ。今の段階では、ホームページの出来、不出来は避けられず、中身の質・量ともに差はあるが、次第に整備されていくことは間違いない。インターネットの特徴である「双方向性」によって、利用者側からの質問や批判、問題提起なども打ち込めるから、民主主義社会の新たなツールとして定着していくことが望ましい。

<3-8>「巨大合併」アメリカに勝つ経営(白水和憲)

実体験を通じて身につけた商売の大原則が、次の二つであった。(1)テクノロジーは、あくまでも「手段」であって「目的」ではない。(2)ものごとは、なるべく単純で分かり易いほうが良い。

<3-9>なぜ日本人だけが喜んで生卵を食べるのか(伊丹由宇)

フランス料理で、1皿ずつ運ぶのは、ロシア料理の手法を真似たものだといわれている(ロシアは気候が寒いので、一緒に出すとすぐに冷えてしまう。この気候が、1皿ずつ供するという、手間のかかる食事法を生み出したとされている)。

<3-10>武器としての決断思考(瀧元哲史)

インタビューをするときのポイントを3つ、ご紹介しましょう。①すべての人は「ポジショントーク」 ②結論ではなく、「理由」を聞く ③一般論ではなく、「例外」を聞く。

<3-11>ソニーの法則(片山修)

世の中には、可能と不可能の二つしかないのです。ところができの悪い連中は、その中間に「困難」というポジションがあるかのようにいうんです。「これは非常に困難です」と。でも、「困難」は「可能」のうちです。要するに、「不可能」でないものは、「困難」だろうが何だろうが、みな「可能」なんですね。

<3-12>執行役員(吉田春樹)

経営とは、法律の世界の話である。法律についての素養がなければ、弁護士の説明を正しく理解することすらできない。弁護士は、経営に対するアドバイザー、あるいは経営者の代理人であっても、当事者ではないのだ。最後に責任をとるのは取締役自身である。会計がわからなければ、株主と対話できない。金融を知らなければ、市場からの警告を見落とすことになる。一歩間違えれば、企業にとって致命傷だ。コンピュータは、今日では経営そのものである。コンピュータを単なる道具と考えてはいけない。製造業にあっても、サーヴィス業にあっても、コンピュータを制するものが経営を制するのだ。

<3-13>サラブレッドビジネス(江面弘也)

「種牡馬の墓場」だと表現したモリスは、こうも書く。「それでも日本で多くのサラブレッドが生産されているのは、ギャンブル狂の日本人を満足させるためである。なのに、莫大な金を使って馬を買うことが、私にはわからない」

<3-14>これから食えなくなる魚(小松正之)

日本の漁業法では、基本的に「漁業を営むものは漁業者に限る」となっており、これにより、漁業が極めて新規参入厳しい産業になってしまっている。ほんの数パーセントの例外を除いて、漁師の息子以外は漁業者になれない仕組みになっているのである。これは日本独特の制度で、その淵源は豊臣秀吉の刀狩と太閤検地にある。秀吉は、海賊も農民と同じように土地に縛り付ける方策を考えた。海賊たちを沿岸地域に定住させ、その代わりに、サザエ、アワビ、伊勢エビといった定着性の水産物を取る権利を与えたのだ。これが、日本独特の制度として今日まで残っている漁業権の始まりである。豊臣秀吉が海賊の脅威を押さえつけるために考え出した制度が、現在の法律体系の中まで延々と行き続けて、今は各地域の漁業協同組合がその漁業権を管理しているというわけだ。

<3-15>官僚に学ぶ仕事術(久保田崇)

官僚は「知識」が勝負です。1本の法律を作るためには、100冊単位の書籍や資料を読みこなします。多くの情報ソースから、必要な情報をピックアップすることが、仕事の基礎になっています。実際、官僚の多くは読書家です。そして、この読書家の傾向はポジションが高くなるにつれて顕著になります。

<3-16>自分で考える人が成功する(中谷彰宏)

ほめやすいものは、誰でもほめます。ほめにくいものをほめる時、知性が磨かれます。ほめるというのは、愛を持たなければできません。つまり、愛と知性は、同じものなのです。

<3-17>人生・成熟へのヒント(堀田力/森村誠一)

「事件」をリポートするのが新聞記者で、「時代」をリポートするのが作家だと私は思っている。

<3-18>ドコモ・トヨタ・ソニーIT覇権戦争(塚本潔)

技術の進化に人間が追いつけなくなったときこそ、ゲーム機の進化は止まるときだろう。

<3-19>我欲を捨てるとうまくいく(植西聡)

徳川光圀は次のような言葉を残しています。「9分は足らず、10分はこぼると知るべし」 器に入っている水が、9分では足りないと思い、10分目まで入れようとすると、水は器からこぼれてしまう。人間の欲も同じで、それを際限なく求めようとすると、何かしらの弊害が生じてくるというのです。

<3-20>ラテンに学ぶ幸せな生き方(八木啓代)

北欧に多く見られる「冬季うつ」という病気があります。日本でも、雪国などを中心に見られる病気で、社会福祉制度が整った北欧で自殺の大きな要因の1つになっています。この病気最高の治療は、日光に当たること、なのだそうだ。

<3-21>人間を幸福にしない日本というシステム(カレン・ヴァン・ウォルフレン)

歴史上、中流階級の出現は、近代民主主義を生んだ政治姿勢の発達に不可欠だった。だが、日本では、この発達が見られなかった。

<3-22>リーダは夢を語れ!(佐藤芳直)

トップ、そしてリーダは常に、夢を持ち続けよう。リーダがリーダたる由縁は、仲間・社員を引っ張りうる夢を見せられるかどうか、にかかっている。

<3-23>週1から始める元気な農業(小田公美子)

化学合成による農薬や肥料を3年以上まったく使用しない圃場で栽培する場合は「有機農業」と表示していい、つまり農産物の包材などに印刷していい、と日本農林規格(JAS)で定められている。

<3-24>ドルがなくなる日(江波戸哲夫・竹谷仁宏)

そもそもギリシャはなぜ財政赤字をふくらませてしまったのか? 一般には次のような説明がされる。①ギリシャ人は休暇をたくさん取り、年金を当て込んで早々とリタイヤしてしまう怠け者である。②ギリシャには人口の30%もの公務員がいてその待遇が良すぎる(若手公務員は若手民間人の倍の給料を取っている)。③闇経済(税金を払わない経済活動)が発達していて、徴税がうまくいっていない。

<3-25>ダーウィンの夢(渡辺政隆)

現在の4足類、すなわち両生類、爬虫類、鳥類、ほ乳類の指の数は、最大5本である。これより少ないことはあっても多いことはない。そして現在の両生類は、前足が4本、後ろ足が5本が基本数です。ところが、イクチオステガは7本指だし、ほぼ同じ時代の両生類アカントステガは8本指だった。4足類の指の基本数がいつから5本になったのかはわからない。しかしもしイクチオステガの指の数がスタンダードになっていたとしたら、われわれの数の数え方は7進法ないし14進法になっていたのだろうか。おまけに手と足の指の数が違っていたりしたら、指折り数える計算法はずいぶんややこしいものになっていたことだろう。