本当は怖いアシナガバチ

 今年はアシナガバチが多い。鳥よけのネット支柱(木製)をしょっちゅうかじっている。何をするのかとよく見ていると、どうやらそれを材料にして巣を作っているようである。駐車場の屋根に巣を作る分にはそれほど影響はないが、人が良く通るところに巣を作られるとちょっと厄介である。先日などは、庭に出した作業用テーブルの近くを飛び回っていた。行き先を見ると、開封した6本入りペットボトルの段ボール箱であった。そーっと覗いてみると、開封した段ボールの箱の中に巣をぶら下げていた。ハチを刺激しない限りは攻撃してくることはないと思われる。とは思ってはみたものの、あまりにも頻繁に飛んでおり、こちらの動きとバッティングすることもあるかもしれない。ハチの機嫌がいつもいいとは限らない。時にはいらいらして機嫌が悪いこともあるかもしれない。そんな時は刺される危険がある。ここは紳士協定を破り、巣を移動させることを決心した。作業は簡単である。開いた段ボールのふたを足で閉鎖し、両手に持ったガムテープで手提げ用の穴をふさぐ。その後、足で押さえた蓋をガムテープで止めて完了、の予定であった。しかし、作業は最初の部分で躓いた。足で段ボールのふたを押さえたのであるがうまくいかなかった。巣がペットボトルに引っかかり、すんなりと押さえられなかった。わずか数秒でサンダル履きの右足の甲をちくりとやられた。さらに数匹のハチがこちらに向かって飛んでくる。ここは逃げるしかない。痛む足を引きずりながら一目散に逃げたので、それ以上の被害は免れた。しかし、ジンジンとした痛みがとれない。とにかく刺されたところから、できる限りのハチ毒を絞り出した。わずか3cm程度のハチではあるが結構な痛みを伴う。足の甲から先がやや腫れて赤味を帯びたような状態になった。歩くたびにジンジンとした痛みがある。この状態が一晩続いた。翌日、靴を履こうと思ったが、甲が靴に当たると痛みを感じる。結局、完全に痛みと腫れが引くまでに1か月程度かかった。一度このような目に合うとハチとの共存はできない。ペットボトルの箱を二回りほど上回る段ボール箱を用意し、一気に上からかぶせた。これで作業終了と思ったが、どうやらそうではなかった。食糧調達中だったのか、2、3匹のハチが帰ってきた。不思議そうに箱の周りをしばらく飛び回っていた。あまり長くそこで観察していると、箱をかぶせたのを見抜かれるかもしれない。また刺されるのは御免である。数時間後確認したところ、そこにはもう何事もなかったようにハチの姿はなかった。

 ハチに刺されて2か月。右足の甲は今も皮膚が直径1cm程度変色したままである。今にしてみれば、足の甲というのは不幸中の幸いであった。顔を刺されていれば、と思うとぞっとする。年々、肌のハリ・ツヤは劣化しているが、これはあくまでも個人の内部要因であり、納得できる範囲である。しかし、外部要因で一瞬にして顔がはれ、その部分だけがハリとツヤを持つことは、納得しがたいプチ整形である。