フキの佃煮

 フキが菜園内の数か所に生えていたので1か所に集めた。繁殖力が強く、あっという間に一面フキだらけになった。まだまだ寒さが厳しい時期にフキノトウが顔を出す。これを見ると、まだちょっと寒いが、確実に春が近づいているのを感じる。と、感傷的になるのはここまでで、さっそくすべて収穫し、佃煮作りである。ものすごく灰汁が強いので、いったん茹でて、冷水を何度か入れかえながらしばらく漬けておく。絞った後、適当な大きさに切り、酒と醤油で炊いていく。水分がなくなれば出来上がりである。出来上がったものは、消毒した瓶に入れご飯の友に変身である。

 夏ごろには葉が大きく茂り、窮屈そうである。では、とすべて収穫し、今度は茎の佃煮である。これも灰汁が相当強い。スジを取るだけで、爪の間が真っ黒である。これは数日取れない。爪を切った後に、たわしでこすってようやくきれいになる。それまでは、恥ずかしくて買い物もできない。人目に手をさらせないのである。まあ、無駄遣いをしなくて済むと考えればいいことなのであるが。それが理由で、薄手の手袋をはめての作業となる。これだと爪の間の汚れは気にせずできるが、非常に作業がやりづらい。晩秋のころにも再度葉が茂ってくる。この時期のものは茎が細くて非常においしい。もちろん味付けに砂糖は使わない。酒と醤油、それと自宅で収穫したトウガラシである。酒のアルコールは15%程度であるが、鍋で燃やすと結構な迫力である。アトリエの天井が燃えるのではないかと思われるほど炎が上がる。無事アルコールを飛ばしたあと、醤油とトウガラシを適量投入し、水分がなくなったら出来上がりである。味見をするだけでご飯がほしくなる。しかし、ここにご飯はない、あるのは料理酒である。仕方なく料理酒片手に再度味見である。ご飯の友が一転して酒の友に代わる。酒とご飯、甲乙つけがたいくらいどちらにもよく合う。わが菜園で、フキはトップクラスの優等生である。灰汁が強いせいか虫が付かない。その上、全く手入れの必要がない。そのため、ついその存在を忘れてしまう。しかし、年に3度、その存在を力強くアピールし、食欲を掻き立ててくれる。食べ過ぎに注意である。

<寒さも何のその!>

 

<きれいに生えそろったフキの葉>

 

<出来上がり>