47.サービス料

 かつて行った店でサービス料を請求されたことがある。思わず、なにこれ? というのが正直な感想であった。普通に食事をしただけで、何もサービスは受けていない。それにもかかわらず、サービス料となっている。そもそも、サービス料とは何なのか? いろいろと調べると、欧米のチップが形を変えて導入されたもののような説明が最も多かった。日本という国は、海外からいろいろなものを導入するが、形だけを導入し、その本質や精神までは導入しないところに問題がある。

 これは、居酒屋のお通しと同じで、強制的に金をとるシステムである。いわば、軽いぼったくりである。サービスに対する報酬を得ることが目的ではなく、金をとるのが目的である。例えば、レストランで夕食を食べた場合を考えてみる。2人で行って、5,000円のコースを食べた組と、10,000円のコースを食べ、さらに10,000円のワインを飲んだ組では、サービス料にかなりの違いが出る。10%のサービス料であるとすると、5,000円の組は1,000円であるが、10,000円の組は3,000円である。では受けたサービスは3倍あるかというと、そうではない。どちらも料理を運んでもらった程度である。ひょっとすると、ワインは何度か注いでもらったかもしれない。しかし、それにしてもこれは金をとるべきものではない。もともと酒自体を小売価格の3~4倍で提供しているのである。さらに、「本体」+「サービス料」に対して消費税がかかる。ここでさらにむかつく。何もしていないサービスに対して税金を支払わなければならない。余計なことをするな、と言いたい。

 もし、本当に飲食の金額によってサービスの質を変えられたら、そのような店には絶対に行きたくない。客のだれがどの程度の金額のものを食べているのかが一目瞭然である。高額な食事をしているところへは、ウエイターやウエイトレスがしょっちゅうやってきて、サービスをすることになる。しかし、どんなサービスをするのか? いくら考えてもわからない。ひょっとすると、食事中にテーブルの下へもぐりこんで、靴を磨いてくれるのかもしれない。あるいは、普段使いなれないナイフとフォークで苦戦しているのを見ると、肩を揉んでくれるのかもしれない。そんなサービスはいらない。なぜ、飲食の10%を堂々と請求できるのかがわからない。習慣だから? 誰も文句を言わないから? 他の店もやっているから?・・・。もっと他の部分で勝負してもらいたいものである。そうかといって、サービス料の表示がないので、良心的な店だと思って食べていると、サービス料の10%分をあらかじめすべての料理の金額に上乗せされているかも知れない。そうなると、単なる表示に対する感情の表れでしかない。サービス料を請求しますと書かれるとムカッとするが、最初から料金にサービス料を含められているとわからないので良心的な店である、と思ってしまう。こう考えると、サービス料を表示する方が良心的な店であるが・・・。人間の感情とはなんといい加減なものか。それ以上に、なにごともあまり馬鹿正直にやると感情を害し問題を起こしてしまうということか?

 と、まあ、いろいろ書いてきたが、結局このような考え方をするような人は、サービス料を取るような店からすると、まったく相手にされていないのである。サービス料が気に入らなければ、もっと安い店へどうぞということになる。そう、客層が違うのである。格が違うのである。何かのコマーシャルにあったように、「笑顔は無料です」が最もうれしいサービスである。