カマキリ

 わが家庭菜園で活動する生き物たちの中で優等生といえば、クモ、テントウムシ、カナヘビそしてカマキリである。クモは2種類いて大きな網を張って昆虫を捕らえるタイプと、地面を歩き回っているタイプがいる。網を張るタイプは、しょっちゅう顔にべったりとくっつくので、その存在は嫌というほど気付かされる。地面を歩き回っているタイプは、通常ほとんど目にすることはない。敷き藁や落ち葉の下にいるので気が付かないが、水を撒くと一斉に大急ぎで逃げだすのでその存在がよくわかる。テントウムシは赤い地に黒の水玉模様なのでよく目立つ。カナヘビは普段はあまり見かけることがない。しかしこれもクモ同様に水が嫌いらしい。水を撒くと慌てて逃げだす。毎年20cm程度のものはよく見かけていたが、今年は5cmくらいの小さなものを数匹見かけた。菜園内で繁殖しているのだろう。彼らとは違って、カマキリは保護色の上に動きまわらず、しかも水に強く慌てて逃げるようなことをしないので、その存在をほとんど目にすることがない。それでも夏から秋にかけて数度目にすることがある。ただ植物の上でじっとしているだけである。ほとんど活動らしいことは何もしていない。本当に益虫なのかと疑ってしまうくらいである。そんなカマキリが毎年菜園内の木や支柱に卵を産み付けている。菜園内で生き残り、卵を産んでいるところを見ると、やはりそれなりの活動をしているのであろう。

 5月中旬ごろの暑い日に、スイカの苗を植えようと穴を掘っていると、何やら小さなスタイルのいい虫が動いているのが目に入った。かなり小さいが、形は立派なカマキリである。親と違って、子どもは動きが早い。人間でも動物でもそうであるが、子どもというのは、どうもじっとしていられないもののようである。虫もやはり同じなのだろうか? 毎日狩りをし、腕を磨いているのだろう。しかし、こんな小さなカマキリが食べるような獲物がいるのだろうかと心配してしまう。普段大きなものしか目に入らないので、このような小さな世界については気にしたことがなかった。卵からふ化してここまで大きくなるのには、それなりの獲物をしとめてきたのだろう。数日後に見かけたときには、真っ赤に色付いたイチゴに陣取って獲物を待ち伏せしていた。色がきれいなので花と勘違いをしたのかもしれない。まだまだ勉強と経験が不足している。これだけ目立っていることに気が付いていないのである。

 支柱にあった巣から、果たして何匹くらいのカマキリが誕生したのであろう。今現在この菜園内にどのくらいのカマキリがいるのだろうか。頑張って、菜園内の害虫を食べつくしてもらいたいものである。必要とあれば、害虫大食い大会を開催してもいい。賞品はナメクジ1年分、といってもカマキリの活動は秋までで終わりか。それよりもおそらくナメクジは好物ではないだろう。できることなら好き嫌いをせず、害虫ならなんでも食べてもらいたい。益虫としてのカマキリには非常に大きな期待と好感を持っている。が、しかし、三角形の顔とあの目の組み合わせはどうも好きになれない。この際そんな小さなことは気にせず、カマキリが住みやすい環境を作ることに専念しよう。

「小さなことは気にしない。大きなことは分からない。のーんびりとマイペースで行くことにしよう!!」

 

<抜け殻の巣>

 

<見えるかな?>

 

<見えないだろうな?>

 

<大きくなれよ>

 

<一人前のカマキリ>