スズメ(その1)

 スズメがよくやってくる。血縁関係等の細かいことはよくわからないが、仲のいいことは間違いない。いつも1羽では絶対に行動しない。必ず数羽が一緒に行動している。誰がリーダーかはわからない。1羽が飛び去るとみんな一緒にいなくなってしまう。とにかくみんなが同じことをする。害虫を食べるようないいことをするのであればいいが、悪いことをみんなでやることが多い。プランターで育てているイチゴの土で砂浴びをするのである。それも二十数個あるほとんどすべてのプランターで行う。いちごに寒肥(春に実を付けるための準備として冬に肥料を施す)用として糠を施し土と混ぜ合わせた。それまで真っ黒だった土が、糠を混ぜたことによって一見黄土色の砂のようになった。翌日、プランターに深さ3cm、直径10cmくらいの穴があちこちに空いているのでピックリした。プランターの周りには飛び散った土がびっしりと落ちている。見た瞬間にスズメの砂浴びだとわかった。黒い土では羽が汚れるためかどうかはわからないが、まったく砂浴びをすることがなかった。糠を混ぜて砂に見えるようになった瞬間に砂浴びを始めたのである。翌日も翌々日も砂浴びを行っている。このままではプランターの土がなくなってしまう。急きょ、プランター全体に網を張ってスズメに砂浴び禁止令を出した。それ以来、砂浴びをすることがなくなりほっとしている。

 スズメの楽しみを奪ったお詫びに、エサ台を設け毎日いろいろなエサを提供している。エサなら何でもいいかというとそうでもないようである。人間といっしょで好き嫌いがある。文鳥用のエサ(ヒエ、アワ、キビ、カナリヤシード)は大好物である。殻をむいたものも売っているが、苦労したほうがおいしいであろうと思い、殻付きを購入した。これは大失敗であった。毎日この殻を吹き飛ばすのが大変である。しかも、周りはゴミだらけで掃除の手間がかかる。次回購入分からは殻をむいたエサに変更しよう。わが家庭菜園で収穫したムギはあまり評判がよくない。全く何も食べるものがない時は食べるが、何か他に食べるものがあると食べない。米は古々米でもよく食べる。これからすると、わが家庭菜園で収穫したムギは古々米以下という評価になる。ちょっとがっかりである。

 実の入りが悪いトウモロコシを冷凍して残していた。この実を細かく砕いて与えてみたところかなりの高評価を得た。最近のトウモロコシは甘味が異常に強い。その甘味のほとんどが水分なので、乾燥させると食べられる部分は極端に少なくなるが甘味が凝縮される。人間の近くに住んでいるため、味覚も人間並みになっているのかもしれない。幸い歯がないので虫歯の心配はなさそうである。しかし、くちばしがあるので虫くちばし? ということも考えられなくはない。くちばしだとインプラントというわけにもいかないだろう。高額の治療費と慰謝料を請求されそうである。念のために古くなった電動歯ブラシをエサ台に設置しようかどうかを迷っている。