43.効果声

 “効果音“ これは以前からずっと気になっていたことである。物語が怖い展開になってくると、ドアが開くときにきしむような”ギィー“という音が入る。雨や風の音などもあったほうが数段臨場感が出る。出演者の演技や衣装も重要であるが、効果音もそれなりに重要だと思っている。その場面をより一層わかりやすくしてくれている場合もあるからである。効果音の使い方ひとつで、言葉以上の効果を発揮させることもできる。しかし、何事も同じであるが、使い過ぎや使い方を間違えた場合は興ざめである。かつて、ドラマで車が急発進する場面があった。当然使用される効果音は”キキキー“というタイヤがスリップする音である。しかし、急発進した道路がアスファルトではなく砂利道であった。それでもそれなりに「ああ、急発進したのだな」と思ってしまう。目から入った映像よりも先に、脳がそのように反応してしまうのである。その後、なぜあの効果音を使ったのか? 間違って使ったのか? 路面状況に関係なく業界の決まり事なのか? 等、いろいろと考えてしまう。通常タイヤが鳴るような急発進はしない。効果を出すために使用しているというよりは、よりオーバーな表現にするために使用している。効果音はもっと繊細に効用を考えて使用してもらいたい。やみくもに使用すればうるさいだけになってしまう。

 最近では、効果音ではなく“効果声”が気になってしょうがない。“効果声”ってなに? 「わっははは」「へえぇー!」「ぇぇえー?」というやつである。これも効果音になるのかもしれないが、区別をするためにあえて効果声とした。正式な呼び名がわからないのでお許し願いたい。面白くもない話の合間でしょっちゅう「わっははは」「わっははは」が流れる。何がそんなにおかしいのかわからない。それでも「わっははは」が流れる。そこまでしなければ面白くもないものを作る側の心境がわからない。もっとひどいものになると、「ぇぇえー?」「ぇぇえー?」「ぇぇえー?」が、しつこいくらい入る。何かを言えば「ぇぇえー?」、もう一言いえば「ぇぇえー?」。いえいえ、その程度は一般常識でしょう。そこは驚くところではないでしょう。そこで「ぇぇえー?」というのは恥ずかしいでしょう。というような使い方である。これも笑いと同じで、作る側に問題がある。世間がびっくりするようなものが作れないから「ぇぇえー?」で代用する。したがって、「わっははは」「ぇぇえー?」が多用されている番組は、まったく面白くなく、まったくびっくりするような番組ではない、ということをアピールしているようなものである。健康に関するもの、特にダイエットをテーマにしたものは、「へえぇー」「ぇぇえー?」が多い傾向にあるように思う。

 

 正しい使い方は、

「XXXとYYYの組み合わせ運動を3セット、1日に3回行うだけでZZZ部が鍛えられます」

「ぇぇえー? その程度じゃダメでしょう?」

「たったこれだけで基礎代謝量がアップし、痩せやすい体になることが期待できます」

「へぇー、よくそんなことを平気で言えるな? わっははは、その程度で痩せられるものなら痩せてみろ!」

 

こんな感じでどーかな?