25.心拍数

 乗鞍ヒルクライミングのところで六甲山ヒルクライムのことを書いた。初めて六甲山に上った時は、心臓と肺が壊れるのではないかと思うほどの苦痛を覚えた。いくら呼吸をしても、いくら一生懸命心臓が脈打ってもどうにもならない。もっと大量の空気を吸い、大量の酸素を全身へ送れればいいのに、と思ったものである。心肺機能の限界を感じた瞬間であった。吸える空気の量は肺の大きさが決めるのでこれはどうしようもない。しかし、心拍数のほうは、何とかもう少し数を増やせないものだろうか? 心拍数について調べてみると、どうやらそれも難しいようである。最大心拍数というものがあり、一般的に成人の場合は(220-年齢)がそれになるらしい。

 ヒルクライムは、乗鞍、富士山、六甲山と3か所を経験した。乗鞍(21km)と富士山(24km)では距離が違うにもかかわらず、完走時間はほぼ同じである。個人的にそうなのではなく、トップクラスの選手でも同じ傾向である。富士山は距離は長いが、平均勾配がやや緩やかなのである。それによって、両者が同じような完走時間になるのである。では六甲山はどうか? 距離が圧倒的に短い割には時間を要している。それだけ急こう配なのである。三山を上った感じからすると、結果としてはどれもきつい。しかし、そのきつさに違いがある。乗鞍や富士山は長距離を上った時のきつさ、疲労感というか、完全に疲れ切って倒れ込むようなきつさである。しばらく動けないくらいぐったりとする。六甲山のきつさは、疲労感よりも肉体を限界まで酷使した時のような、筋肉痛を感じるような疲れである。瞬間的にはきついがわずかな時間で回復する。5分もすれば何事もなかったかのように下ることができる。

 この時の心拍数はどうなっているだろうか? 瞬間的には極限までの力を出し切っている六甲山のほうが高い数値が出るものと思われる。しかし結果は同じであった(乗鞍の時はウエアラブル端末購入前なので不明)。富士山、六甲山ヒルクライムともに偶然ではあるが、平均心拍数は157bpm(beats per minute)、最大心拍数は176bpmであった。この最大心拍数は、年齢から算出される数値よりはるか上の数値である。これを見る限り、これ以上に心拍数を上げるのは危険であると思われる。

 運動強度を心拍数を使って表現する場合がある。その方法は、最大心拍数の何%MHR(Maximum Heart Rate)かで表示する。この表示方法で示すと、富士山、六甲山ヒルクライムともに100%MHRということになる。これは5段階で表示される運動強度では最大のレッドラインになる。ちなみに、脂肪燃焼に最も効果の出るのは60~70%MHRである。