109.干支

 年賀状を出さなくなって8年。なんとなく形式だけのものに時間をかけることに矛盾を感じていた。定年を迎え組織から離れると、形式だけの付き合いを続ける意味がなくなってしまった。これを機会にすべての人への年賀状をやめた。もちろん礼を欠くことは承知である。年賀状で年に一度の生存確認をするよりは、もっと頻繁にできた方がいいだろうとホームページを立ち上げ、週に一度は必ず更新している。これが滞ると一身上の・・・があったと思ってもらっていい。

 年末や年始になると本屋、ポスター、神社などで干支の写真や絵を見かける。ああ、今年の干支はXXか、と知る。去年も見たので、今年の干支はその次であるのだが、去年の干支を覚えていない。当然今年の干支はわからない。こんなことを繰り返している。年賀状を書くというわずかな時間ではあるが、そのことで1年間干支を覚えているものである。覚えたからといっても何のご利益もないが・・・。1年間を通じてその年の干支を使った話をした記憶がない。それほど人生において干支を必要としていない。にもかかわらず、年賀状には新年の挨拶と干支を印刷する。

 人生もほとんど後半になって、どうにも気になってしょうがないので干支について調べてみた。子、丑、寅、卯、辰・・・・、ね、うし、とら、う、たつ・・・と読むが、なぜその漢字が使われたのかははっきりしないらしい。漢字と動物は何の関係もないという。ますます不思議なことである。そして、それぞれの動物のいい部分の特徴を強調することで、今年はいい年になるぞと縁起を担ぐのだろう。1年の始まりは気持ちよくスタートしたいものである。自分だけでなく、周りの人もみんなハッピーになるようにということだろう。こんな素晴らしい習慣を、「年末の忙しい時に形式だけのためにやってられない」「生存確認のため」「元旦に着くようにするには25日までに投函しなければという強迫観念」などという個人的な都合でやめてしまったという後悔(まではないが)・・・。

 2024年は甲辰(きのえたつ)である。新しいことを始めて成功する。今まで準備してきたことが形になる、といった縁起のいい年らしい。さて、どんな新しいものを始めようか? いろいろと考えをめぐらすが、やりたいものが浮かんでこない。いっそのこと8年間やめていた年賀状を新たに再開しようか???