カラス

 カラスに対してどのようなイメージを持っておられるだろうか? 多くの人は、ごみ収集日にネット横からレジ袋を引き出し、道路をゴミだらけにしている光景ではないだろうか。ゴミ収集日を記憶しているのか、それとも毎日の偵察でゴミステーションの様子を見てやってくるのかは不明である。ゴミ収集日を記憶としたのには理由がある。それはカラスの知能である。

 わが町内のカラスは年に数回大集会を行っている。多くのカラスが屋根や電柱、電線に止まり、カァー、カァーと鳴き合っている。意味は分からないが、どうも情報のやり取りをしているように感じるところがある。ゴミステーションの管理がずさんな場所、新人(カラス)の自己紹介、季節の果物の成長具合等、が議題に挙がっているのではないだろうか。

 わが菜園は鳥獣から栽培物を守るために全体をネットで囲っている。そこへある日、1羽のカラスが侵入し出られなくなってしまった。カァー、カァー、カァー、カァーと鳴き叫んでいると、大集会で集まったときと同じ程度のカラスが、わが菜園の周りの屋根や電線に集まってきた。それはそれは恐ろしい光景であった(詳細は大事件勃発参照)。これは明らかにカラスが言語を持っていることに他ならないと思っている。その言語を使って、大集合時に情報交換を行っているのではないだろうか?

 彼らの知能はそれだけではなく、人を判別できるのではないかとも思っている。ある日、買い物に出かけようと玄関を出ると、すぐさま1羽のカラスが菜園横の物置の屋根に飛来した。何やら不穏な行動が気になり戻ろうとすると、その姿を見てすぐに飛び立った。その時はそれほど気にもせずそのままにしていた。数日後、未収穫のブドウを収穫しようとして異変に気が付いた。見事に1房もない。ブドウ棚の下には何の痕跡もない。数日前、物置の上に止まったカラスを思い出したので、登ってみた。そこには大量のブドウの皮と種が残されていた。びっくりである。菜園から失敬したブドウを房ごとここへもってきて、1粒ずつ皮と種を出して食べたのである。皮を出す程度は想像できなくはないが、種はかなりレベルが高い。実をしっかりとかんで、種の存在を確認し、吐き出さなければならないからである。自力で学習したのか、親からの教育なのかは不明である。カラスの知能を信じるならば、この時の記憶は保存され毎年繰り返されることになるだろう。

 ゴミステーションでごみをあさっているカラスと、この上品な食べ方をするカラスがどうしても一致しない。日常的には腹を満たすため、時間に制約があるゴミステーションでは早食いを最優先させる。そして、時間に余裕があるときに食べるデザートは、ゆっくりと上品に、素材が持つおいしさを最大限に引き出して食べる。ということなのだろうか? 来年はくちばしを拭うナプキンを置いておこうかと思っている。

 カラスへの疑問は続く。