ブドウ棚改修

 ブドウの木を2本栽培している。品種は育てやすい巨峰である。ブドウには他の果実と違うところがある。通常、果実は実が多くなれば、小さな実で完熟する。ブドウは実が多くなりすぎると完熟しない。ほとんど色付かず甘みが増してこないのである。初夏に花が咲くと適度な数に間引いてやらなければならない。それと同時に実の形を整えてやらなければならない。軸の元の部分と房の先端部分を切り落とす。房の中ほども、実が詰まりすぎないように間引いてやる。かなり手のかかる果実である。

 ブドウの木は冬に剪定をして、翌年に多くの実を付けられるようにする。しかし、この作業がなかなか思いきってできない。理由は、枯れている枝が何本あるかわからないからである。では、なぜ枯れるのか? 夏にカミキリムシが木に卵を産むからである。それが幼虫になり、冬の間に木の中を食い荒らしてしまう。そうするとその枝は枯れて、春になっても新芽が出てこない。春に芽が出だして初めて気が付くので、冬の間に枝を剪定してしまうと大変なことになってしまう。

 手の掛かるブドウであるが、その味の良さを考慮するとやはり手を掛けざるを得ない。しかし、面倒なことはこれだけではない。ブドウ栽培には棚を作る必要がある。これに結構な費用と時間がかかる。安い材料を使うと、当然のことながらすぐに使い物にならなくなってしまう。安い材料とは、節の多い輸入材である。節のひび割れた部分に水が溜まり、そこから腐ってくるのである。かといって、節のない総ヒノキ造りというわけにもいかない。そこで、木材に天然の防腐剤を塗ってこれを防ごうというわけである。この防腐剤が非常に高価なのである。2度塗りをするのでさらに高価になる。この作業に3日間はかかる。杭を打ち支柱を取り付け、竹で棚を作るのに3日。ブドウの木を新しい棚に固定したのち、古い棚を撤去する。晴天続きであれば、1週間の作業である。

 前回の棚は4年経った頃にグラグラとしてきた。補強をすればもう数年延命させることは可能であったが、安全を考慮し早めに撤去することにした。棚の両サイドは道路で、人通りがあるからである。今回はややいい木材を使ったのと、金属製のジョイントを使用したので、前回以上の強度と寿命を有することは明らかである。支柱はしっかりとした木材を使用している。棚は細めの竹を使用することで負担重量を軽くし、かつ交換を簡単に行えるように結束バンドで固定した。

 ぶどう棚の更新から数か月が経過し、新しいブドウ棚で初めての実が実りだした。ネットを被せたブドウは、数十本のワインボトルが吊り下げられているように見えてくる。実を食べるよりもやはり赤ワインの方が魅力的である。とはいってもこれだけの量ではワイン1、2本がやっとだろう。また、忘れたころに棚の改修をすることになるのだろう。そのためにも今回の材料と手順をメモしておこう。

<改修後のブドウ棚>

 

<鳥対策でネット掛け>