48.嫌いなもの(その1)

  食べ物は何でも食べる。好き嫌いというものがない。と言えば聞こえはいいが、実はある。そのもの自体が嫌いというわけではない。そのものが置かれた状態が嫌いなのである。カツサンド、ローストビーフ、おせちがそれである。まず、カツサンドである。パンもカツも大好きである。しかし、カツサンドにすると嫌いになるのである。理由は簡単。パンとカツが接する部分のパンがベトベト、カツの衣もベトベト。このベトベト感が嫌なのである。コンビニでおにぎりを買っても海苔が湿気ていない。おにぎりと海苔の間にフィルムがあり、食べるときにこれを抜き取りおにぎりに海苔を巻くからである。こうすることでパリパリの海苔を巻いたおにぎりが食べられる。これは画期的なことである。わずか100円程度のものでもこの気づかいである。それに比べると、カツサンドはかなり高価なものであるにもかかわらず大雑把である。食べる直前にパンにソースをかけ、カツを挟めば非常に美味しい食べ物になると思うが、そういう気づかいが出てきそうにないのが残念である。

  続いてローストビーフである。肉はもちろん大好きである。肉の赤味ももちろんであるが、脂の味と匂いが好きである。これらは熱いから旨いのであって、冷えた肉が旨いと思ったことがない。最悪なのが冷しゃぶというやつである。こんな冷えた肉に旨味を感じることはない。どれほど高級な肉でも、冷えていれば、安くても熱い肉のほうがいい。脂の旨味は熱さにあると思っている。こう思い込んでいるので、どうにもならない。肉は熱々をフウフウいいながら食べるのが旨い。したがって、300gもあるような肉が磁器の皿で出てくるというのも最悪である。食べ始めて100gも食べればあとは冷えた肉になってしまう。鉄板の皿でもダメである。鉄板焼きのような保温の効くところでないといけない。これなら最後まで熱々の肉が食べられる。したがって、通常食べる肉は、せいぜい100~150gといったところである。

  最後がおせちである。かつて、正月の三が日は店が開いていなかった。4日が初荷ということでようやく店に商品が並ぶようになっていた。今は、デパートやスーパーでも3日間も休む所はほとんどない。コンビニは年中開いている(いつまで続くかは不明であるが・・・)。食べる物はいくらでもある。それにもかかわらず、おせち料理を食べる理由が分からない。もちろん料理を作る側からすれば正月の3日間くらいは休みたいというのはわかる。それなら、インスタント食品や冷凍食品を食べればいい。縁起物でそれぞれの具材の意味や位置付けがあるのはわかる。しかし、なにも正月に冷えた縁起物を購入してまで食べる必要はないように思う。このようなおせちには決まって高級食材が使用されている。伊勢海老、ローストビーフにアワビ。この高級食材で高価格が成り立っている。しかし、ローストビーフのところでふれたように、冷えた食材に美味いものなしである。ましてや、温めるためにレンジで「チン」したのではもっと興覚めである。おせちで旨いものといえば、栗きんとんと黒豆ぐらいである。あとはもうどうでもいいようものばかりである。こういうおせちに限って、有名デパートや一流シェフの監修となっていることが多い。これを食べるより、インスタントラーメンの旨さの方に惹かれる。今のインスタントラーメンは並みのラーメン屋では太刀打ちできないくらい美味い。