ニンニクパワー

 家庭菜園をやっていると、ニンニクがいかに優等生であるかがよくわかる。では、なぜ優等生なのか? 秋に球根を植えると、あとは何もしなくても翌春に収穫できる。雑草が生えてもびくともしない。虫は全く被害を及ぼさない。まさにニンニクパワーである。したがって、ニンニクに関しては害虫というものが存在しない。収穫したものは葉と根を切り取り、5~6個まとめてひもでくくり、日陰につるしておくと秋までは大丈夫である。これもニンニクパワーである。それ以上置いておくと芽が出てくる。

 ニンニクにはアリシンが豊富で、ビタミンB1の吸収をよくする。また、「葷酒(くんしゅ)山門に入るを許さず」とあるように、修行の妨げとなるほどの効果を発揮するものとされてきた。私などのような凡人は、滋養・強壮によいとなれば何でもよいのである。そういった意味でのニンニクパワーを期待するのであるが、これは実感するほどの効果はない。ただ、結果としてはっきりと残るのは臭い息だけである。したがって、人前に出るようなときは、食べないようにしている。

 先日、収穫して吊るしてあったニンニク30個を醤油漬けにした。にんにくはそのまま食べられるし、醤油はニンニク風味があり調味料として使え、長期間の保存がきく。作業を初めて15分程度で、指先に違和感が出てきた。ちくっとするのである。それがだんだんとひどくなり、30分たったころには指先が痛みでどうにもならない。針でチクチクと刺されているような痛みが続く。にんにくの薄皮をむくために両端を切断するのであるが、その時の汁が指先に付く。どうやらそれが皮膚に入り刺激をしているようである。手を洗ってみたが、一向に痛みは取れない。痛みを我慢しながら残り半分の薄皮をむき完成させた。この指先の痛みは徐々に和らいだが、完全になくなるまでに丸1日かかった。まさにニンニクパワーである。さらにすごかったのはその臭いである。指先についた臭いは丸二日間消えなかった。これまたニンニクパワーである。このように、ニンニクのすごさを肌で感じると、その効果も期待できそうである。その後、1週間程度して、人差し指と中指の皮がむけてきた。先日痛みを感じた部分である。こんなにも分厚い指の皮がむけるのである。またもニンニクパワーを思い知らされた。1週間後にも効果が出たのである。ニンニクパワーはこれで終わりにしてもらいたい。これ以上続くと・・・、想像すると恐ろしい。

 ニンニクの汁が肌に30分付くだけでこのようなことになる。食べる量にも注意が必要かもしれない。胃の皮がむけないことを祈るばかりである。体調を崩して修行の邪魔になるようでは、本来の意味からかけ離れてしまう。

 

 

      <ニンニク>

       <醤油漬け>

 

    <ニンニクパワー?>