23.道路の最大勾配(2)

 全国には坂バカが喜ぶような坂があちこちにある。そして、そこを完走して満足感に浸る人や、タイムトライアルで時間の短縮に執念を燃やす人がいる。しかし、現代社会においては、「道路」というのは車を主体として作られている。自転車や人が主に利用するために作られたものではない。自転車や人はあくまでもオマケである。

 公道などという表現を聞くと、恐れ多くてロードバイクで走ることさえ気が引けてしまう。このような道路を走るためにはいろいろと取り決め事項があり、それらを遵守しなければならないからである。今回はそちらではなく、道路を作る場合の取り決め事項についてである。公道という表現からして、お役所が絡んでいること間違いなしである。当然のことながら、恐ろしいほど分かりづらい表現で法令や規定が書かれているはずである。それと同時に、全国の道路事情をすべて把握しているものと思われる。道路の最大勾配がいくらで、どこに存在するかということもすぐにわかるはずである。道路を作る場合の基準を調べてみてびっくりである。道路構造令に規定する道路の最大縦断勾配(進行方向の勾配)は、普通道路で標準9%・例外12%、小型道路で標準12%・例外「-」となっている。これらはともに設計速度が20km/時という最低速度のときのものである。もちろん設計速度が速くなれば勾配は小さくなる。「-」は例外を認めないということなのか、それとも自由に(もちろん良識の範囲内の自由ということになるのだろうと思う)いくらの勾配でもいいということなのか? 現実に12%を超える坂が存在するところを見ると、いくらでもいいということになるのかも知れない・・・。まさか垂直の坂はないと思うが、垂直になると勾配は「無限大」というこということになる。

 全国にいる多くの坂バカが求める坂は、道路構造令の規定外、つまり例外を求めて上っているのである。それにしても全国に多くいる坂バカが、それぞれの地で急坂を体験できているところを見ると、全国的に例外がいかに多いかがわかる。それ以上に坂バカの多さに驚かされる。日本は島国というよりは山国なのである。したがって、坂バカになるか電動アシスト自転車に乗るしかないのである。

 坂も人間も例外はあまり歓迎されない。何とか規定内に収まりたいものである。