耕運機

 耕運機のピアンタ(ホンダ製)は働き者で非常に頼もしい。1.5馬力の力持ちである。連続使用になると、疲れを知らないため10人力程度の効果はある。一人で耕せば、間違いなく翌日は足、腰、背中、腕・・・、いや全身に痛みが発生する。いくらスポーツクラブで日ごろ運動をしていても全く関係がない。要するに使う筋肉が違うのである。違うにもかかわらず、この筋肉痛がスポーツクラブに行くと、さらに痛くて運動ができないのである。矛盾を感じるが、確実に痛みがある。決して年齢のせいではない。人間の体には非常に多種類の筋肉があることを実感させられる。

 この耕運機はガソリンではなく、カセットコンロ用のガスボンベで動くのである。フルスロットルで30~40分稼働できる。排気ガスもきれいで、音もそれほど大きくない。ガスが余ればカセットコンロで使用できるので重宝する。この耕運機は市販されているものでは最小の部類である。小型であるから、それほど深くは耕せない。25cmくらいの深さが限度であろう。もう少し深さがほしいところである。とはいっても、これをスコップで行うとなると、想像するだけで倒れそうになる。

 耕運機と土の特性、その両者の関係を完全に把握しないとうまく耕せない。最初のころは、耕運機の軽さと土の硬さが原因で、耕運機がピョンピョン飛び跳ねて耕せなかった。雨後の耕作では、土が掘れるだけで前へ進まず大きな穴が開いたこともあった。要領をつかみ十分な深さまで耕せるようになると、次は軽やかなUターンである。狭い家庭菜園であるから、すぐに突き当たってしまう。したがって、Uターンは必須技術である。軽やかで華麗なターンをマスターすればさらにいい。フィギュアスケートのように4回転は必要ない。もちろん体操のようにひねり技も必要としない。わずか1/2回転でいいのである。いくら素人でもこれなら可能である。直線的に突きあたりまで行くと、Uターンであるが、ここで素早く回らないと、その部分が深く掘れて穴が開いてしまう。素早く体を回し、続いて耕運機を回す。東西方向が終われば、今度は南北方向である。縦横無尽に耕す。耕運機がなければ絶対にできない作業である。作業を終えたピアンタは多量の雑草を巻き込んでいる。それらをきれいに取り除き、付着した土を洗い落とす。次回使用するまで、定位置で待機である。小さいながらも、どっしりと構えた姿が頼もしい・・・が、ひょっとして、あちこちに痛みが出ているかもしれない。人間ならば、全身マッサージということになる。そのあたりのことについては、見て見ぬふりを決め込むこととする。

<HONDAのロゴがまぶしいピアンタ>