コスパ
家庭菜園をやっていると、時としてむなしくなる時がある。それはスーパーマーケットで野菜の値段を見たときである。キュウリが3本で100円、タマネギが2個で100円、という値段である。店頭価格がこれであるから、生産者はさらに安い値段で出荷していることになる。なぜそのような値段で野菜が出荷できるのか。いくら広大な土地で機械化されていても、最終的には生産者が袋や箱に詰めるという手作業が入る。規模は違えど同じ生産者として心配になってしまう。
イチゴを例にコスパを考えてみよう。9月ごろになると、ホームセンターでイチゴの苗が売られるようになる。今はやりのキラキラネームのイチゴでは苗1株が350円くらいする。この1株の苗から10個程度のイチゴが収穫できる。スーパーマーケットで売られている同等のイチゴが80円(1個当たり)である。総額800円となる。この800円を手にするまでに8か月という長い月日が必要になる。この間肥料や水やりを欠かすことはできない。これは人件費として計上しなければならない。プランターで育てれば水やりはほぼ毎日の作業となる。相当な人件費である。
無事に実ったイチゴを手作業で収穫し大きさを選別し箱詰めする。気の遠くなる作業である。イチゴのような表面が柔らかい果実はちょっとしたことで傷がつく。収穫から箱詰めまで全く気を抜けない作業が続く。とても家庭菜園レベルではない。イチゴは非常にコスパが悪い作物だと思う。
カボチャは皮が堅く、大きな力を加えない限り表面を傷つけることはない。家庭菜園では1株あれば十分な野菜である。ただ、苗に当たりはずれがあるので保険の意味を込めて2株栽培することが多い。植えればあとはそのまま、何も手を加えることはない。勝手に雄花と雌花が咲き、虫が受粉をさせてくれる。あとは実が大きくなるのを待つだけである。ツルにどの程度実が付いているかを確認し、あまり多く実が付かないように適当に間引けばいい。軸の部分がコルク状になってくれば収獲時である。収穫後は冷暗所でじっくりと追熟させれば甘味を増した美味しいカボチャの完成である。人件費だけをみれば非常にコスパの高い作物である。しかし、ツルの広がる面積(土地代)を考えるとあまりコスパがいいとはいいがたい。
このように考えてくると、家庭菜園ではコスパは度外視するべきものであることがわかる。野菜や果物を栽培するのが好き、あるいは無農薬・有機栽培のものを食べたい、といった要望がある人が行うものである。おっと、大事な人を忘れていた。暇ですることがない人、このような人には最適である。コスパを考えれば、買う方がはるかに安いし見栄えもいい。しかし、いざ購入するとなるとやはり高いな、という気がしてくる。結局自己中心的であるがために、主語をどこに置くかでころころと考え方が変わってしまう。情けない話である。