麦茶

 わが家庭菜園では、冬の風物詩としてコムギの栽培を行っている。殺風景な冬の菜園に緑を提供してくれる。菜園内の肥料分布をリセットしてくれる。そして、菜園に必要な麦わらという補助資材と美味しいコムギを提供してくれる。今回はこの美味しいコムギの利用法についてである。いつかはこのコムギを粉にして、うどんを打ちたいと思っているが、まだ実現しそうにない。粉を挽くのに大変な労力を必要とするからである。

 今回はこのコムギで麦茶を作る事にした。コムギで麦茶? 麦茶はオオムギかハトムギでしょう、というようなことは一切気にしない。ムギと名前が付けばそれでよし。ところで、なぜ麦茶か? 真夏の菜園作業では大量の汗をかく。スペシャルドリンクとして「はちみつレモンジンジャーウコン」、つまり、わが菜園で収穫した、「ショウガ」「ウコン」「レモン」を消費するためにこれらを使用していたが、そろそろ品薄になってきたので、内容の変更に迫られたことが理由である。作業をすれば当然のように汗をかく。必要となるのが水分の補給である。ただ水だけでは失われたミネラルの補給ができない。そこで、わが菜園の地中から、大量のミネラルを吸収したであろうと思われるコムギを使うことにした。

 さっそく作業開始である。コムギをフライパンで煎ること10分。パチパチとコムギがはじける音が始まった。ポップコーンを作るときのような激しい爆発音ではない。上品でしとやかな破裂音である。パチパチよりはポコポコの方が適切かもしれない。10分程度この音は続く。その後音はぴたりと止まり、徐々に香ばしい、いい香りがしてくる。色も少しばかりきつね色を帯びてくる。このころが最高に美味しそうな感じのコムギである。しかし、これで麦茶を作っても、まったく色もつかないし味もよくない。さらに煎ること15分、色がかなり濃くなってくる。においもさらに香ばしさを増してくる。しかし、中を割ってみるとまだきつね色にもなっていない。ここからは一気に進む。フライパンからは煙が上がりだし、常時手返しよくフライパンを振っていないと、一部分だけが真っ黒になってしまう。フライパンを振り続けること5分、煙も激しくなりかなり焦げ臭いにおいがしてきた。ここでガスを止め、ザルに広げて真っ黒になった小麦を冷ます。出来上がったコムギは、カリッと歯触りがよくいい香りを放っている。ムギがそのまま入ったティーバッグをやかんに入れ煮出すのがふつうである。しかし、これでは時間がかかって毎日となると大変である。そこで、コーヒーでお世話になっている大型のミルを使用して粗挽きの粉にする。これをティーバッグに入れることで、簡単に最大限にミネラルを引き出せる。重要なことはティーバッグを2重(1重だと粉が漏れ出て喉越しが悪い)にして熱湯に入れるのである。じっくりと出した麦茶のミネラルと香りは、十分に満足のいく飲料と化す。すこし塩を入れて冷やしておくとさらに充実する。

 猛暑の続く日にはスペシャルドリンクとして効果を発揮する。とはいいつつも、できることなら、これが自然発酵して麦酒なるものに変化してくれるともっとありがたいのであるが・・・。

 

<もう少し! ここからが勝負>

 

<左はコーヒー豆、右がコムギ>

 

<ミルで粗挽き>

 

<パックに入れて完成>