チェーンとロープ

 チェーンは1個ずつ金属を輪にし、溶接して作ってある。じっくりと見ていると、なかなか精巧にできていることに感心する。大型のチェーンは、家庭ではほとんど使うことがない。しかし、これを見ていると、無性に欲しくなってきた。決して振り回して遊ぼうというのではない。そんな危険なことをする不良オヤジではない。チェーンは堅い金属が自由に動き、かつ強度はそのままという優れものである。もし、どちらかの特性をなくすことができたらどうなるか? いろいろと考えてみたが、強度をなくす方法は考えつかなかった。では、自由に動かなくなったらどうなるのか? 本来自由に動かせるものが、固定されてしまったらどう感じるか? これは簡単である。早速、それを試してみた。チェーンを1m購入し、気合を注入する。元々がだらりとした製品で、緊張感が全く感じられない。気合を注入すること2時間。ようやく、だらりとしたチェーンにもやる気が見え始めた。ゆっくりではあるが確実に地面をつかみ、そこからの立ち上がり部分が徐々に緊張感を持ち始めた。そのあとは見る見るうちにしなやかな曲線を描き出した。最後はくるりと輪になった。出来上がったものに錆止め用の黒のスプレーを吹き付けて完成である。輪の部分にワインを差し込んでワインサーバーにしようかとも思ったが、狭い食卓に置くと苦情が出そうである。ではどうするか? 幸いにもわが家には多くの“植木瓶”がある。それを差し込み、花を植えればいい植木瓶サーバーになる。

 チェーンに比べると、ロープは簡単なものである。ちょっと気合を入れるだけで、シャッキーン、と棒状になった。あとはそれを好みの形に曲げるだけである。こちらは金属と違って、硬度がやや不足気味である。とても植木瓶を支えるだけのパワーがない。こちらはわがアトリエのマスコットを吊り下げることとした。

 また、アトリエ周りがにぎやかになった。