ヒョウタンアート(ハリネズミ)

 

 さてこれは何に見えるだろうか? 黒い物体のいたるところに穴が開いている。穴の大きさは直径10mmで24個開いている。そう、ここに鉛筆やボールペンがすっぽりと入るのである。ハサミやカッターナイフも入る。色鉛筆を入れれば24色がすべて入るようになっている。ちょっと変った形をしたペン立てである。これがそう見えないような形にするところが、最も難しいところである。下が小さく上が大きい。不安定な形でありながら安定感を持たせてある。見た目は非常に安定が悪そうであるが、実際に使ってみると結構安定していて使いやすい。鉛筆やボールペンが底まで入ることと、広がらずに入っていることでそれぞれの重心がペンケースの重心から遠くならないようにしてある。こうするためには、差し込んだペンが倒れないようにしなければならない。この防止策として、ペン立ての下方にタコ糸でネットを組んである。上から入れたペンはこのネットに引っかかりほぼ垂直に立てることができるようになっている。

 ところで、なぜこのような変わった形にしたのかという疑問が出てきても不思議ではない。こんな不思議な形を作るだけでも大変である。こんなところで労力を使いたくはない。ということで、わざわざこの形を作ったわけではない。もともとこのような形をしている物の一部分を切り取ったのである。ヒョウタンの上の部分をカットして、逆さにしてあるのである。よく見かけるひょうたん細工では、大小の穴を無数に開けて電球を入れた照明器具がある。これらの穴から漏れる大小の光が四方八方に広がるのを見たことがある。見た目はきれいなのであるが、実際使うとなるとどこでどのように使えばいいのか悩んでしまう。これでは日常使いを主にする作品作りをしている者からすると納得がいかない。実用性と愛嬌を混ぜ合わせた作品でなければならない。名付けて「ヒョウタンハリネズミ」とすることにしよう。

追記:しばらくこのまま使っていたのであるが、ある日ペン立てを移動させたところ、机に鉛筆やボールペンでの汚れが多数付いていた。これは早急に改良しなければならない。ということで、ペンケースの底にコルクのシートを張り付けた。これで安定感と差し心地が一段と増した。今や机上の必需品としての地位を確立しつつある。