オヒシバの出現

 以前手ごわい雑草として、ハタケニラ、ドクダミ、そしてメヒシバを取り上げた。今回、新たに第4の手ごわい雑草が出現した。「人は見た目が9割」ではないが、「見た目が10割雑草」というわかりやすい雑草が出現した。数年前から気にはなっていたのであるが、それほど勢力を拡大するわけではないので軽く見ていた。しかし、最近になってその勢力を一気に拡大してきたのである。これはもう誰が見ても一瞬で雑草だとわかる。それくらい雑草としての風格を持っている。まさに雑草の中の雑草、雑草の鏡ともいうべき形状と性格をしている。雑草はそれぞれ特技を持ち、生き延びることに対する執念のようなものを感じる。ひ弱そうに見えても、彼らはそれぞれに特有の戦略を駆使し生き続けている。

 今回ここで紹介する雑草はオヒシバである。最初から人に踏みつけられることを前提にしたような形状をしている。茎は直立することはなく、すべて地面に放射線状に広がっている。踏みつける前から押しつぶされたような形状をしている。茎自体も押しつぶされたようにぺしゃんこである。したがって、改めて踏みつけてみても、形状は何ら変化することはない。まったく踏みつけがいのない雑草である。もちろん、数回、数十回踏みつけたところで何のダメージも受けていないように見える。まさに、踏まれても踏まれても、それをばねに力強く生きていく雑草魂・・・といったものを感じさせる。もうそれだけでとても太刀打ちできる雑草ではない、という気持ちにさせられる。

 雑草にふさわしく、根もしっかりとしている。土をつかむ力は相当なものである。茎の集合部分をもって引き抜こうとするが、ものすごい力を集中しないと引き抜くことができない。そして引き抜いた時に、一緒に多くの土が持ち上がってくる。それだけ毛根を大量に発生させ土と一体化しているのである。わが菜園はやや粘土質なため、雨が降ったあと乾くと、土が非常に固くなる。そうなると引き抜くことがさらに大変になる。このあたりもこの雑草をかなり優位にしている。したがって、この雑草に対抗するには、雨上がりを狙って対応することになる。これだといくらか引き抜く力が小さくて済む。それでも菜園一面に生えたこれらを引き抜くとなると、相当な重労働になる。

 毎回、手ごわい相手を前にすると感じることがある。それは、種ができる前に撤去しておけば、翌年はいくらか楽になる、ということである。しかし、どういうわけかいつも手遅れになってしまうのである。こうなれば、どうにかして彼らからそのたくましい雑草魂を習得するしか方法はなさそうである。

<どこからどう見ても雑草!!>