その6

<6-1>ONとOFF(出井伸之)

興味さえあれば、インターネットなどを利用して個人が得られる情報の量は飛躍的に増えていて、専門家と素人の差は限りなく広がっています。つまり、「OFF」の世界を持つか持たないかということで、知識の差がどんどん広がってしまうのです。これからの「Knowledge Society=知識社会」では、仕事のみならず生活すべての局面で、知識の根源になる「興味」のあるなしが決定的な意味を持ってくる。未知のものに素直に感動する気持ち、「センス・オブ・ワンダー」を持っているかということにもつながってくると思います。

<6-2>トヨタはいかにして「最強の社員」をつくったか(片山修)

トヨタは、この50年の大労働争議から三つの教訓を学んだと、私は思う。一つは「危機感」、もう一つは「無借金経営」、そして「労使協調」である。この三つの教訓なくして、今のトヨタはないといっても過言ではない。

<6-3>成果創造のマネジメント(クリントン・O.ロンゲネッカー)

面接で犯しがちなミスの1つは、面接中に候補者に話すチャンスを与えないことだ。面接官は聞く側に徹し、自分が話す時間を短くするべきである。候補者が話す割合が75%で、面接官が25%というのが望ましい。

<6-4>考える力をつける哲学の本(ルー・マリノフ)

自分の良心を捨てたり、ごまかしたりすることは容易ではない。ただ、人は誰でも自分のしたことの代価を払わなければならない。いったん魂(美徳)を売渡してしまえば、もう取り戻すことができないことは覚えておくべきだ。

<6-5>ガンにならない3つの食習慣(高橋弘)

私たちの身体は、60兆個といもいわれる無数の細胞の集まりです。新陳代謝により、毎日1兆個という莫大な細胞が死に、同じ1兆個の細胞が細胞分裂で新たに生まれています。日々生まれている1兆個の細胞の中で、遺伝子異変を持つものは5000個から6000個といわれます。これがガン細胞の芽です。これは2億分の一という極めてまれな確率です。

<6-6>ドラッカーの実践経営哲学(望月護)

投資の専門家が言っている鉄則に、「スリッパに履きかえる会社に投資すると儲からない」という「スリッパの法則」がある。同じく「作業着を着ている社長が率いている会社に投資しても儲からない」という「作業着の法則」もある。スリッパに履きかえたり社長が作業着を着て内部に目を光らせている会社は、外部志向でなく内部志向だからだ。

<6-7>ルネッサンス 再生への挑戦(カルロス・ゴーン)

実行こそすべて---これが私の持論である。アイデアは課題克服の5パーセントに過ぎない。アイデアの良し悪しは、どのように実行するかによって決まるといっても過言ではない。

<6-8>蕎麦屋の常識・非常識(片山虎之助)

ソバの産地には昔から「そばは蝿が三匹たかったら刈れ」といった言い伝えがある。つまり、たくさんなっているソバの実のうち、三粒ほど黒くなったら、もう刈り取りなさいという意味だ。まだ多くの実が緑色のうち刈れば、脱粒が軽減できる。より多くの実を収穫するための先人の知恵である。

<6-9>P&G式伝える技術 徹底する力(高田誠)

「消費者がボス」を合言葉とするP&Gでは、「お客様相談室」の存在がとても重要です。苦情や問合せに対応して、一人ひとりのお客様に満足してもらうことは何よりも大切なことですが、全国から寄せられる声をデータ化して、関連部門に情報として伝達する。定期的に質の高い情報がまとめられ、製品改良やマーケティング施策に反映される仕組みになっています。お客様相談室の情報は、統計的にも分析され、論理的な判断をする際にも大きく役立っています。

<6-10>酒場歳時記(吉田類)

「酎ハイ」の名称が生まれたのは、東京の下町酒場で親しまれた大衆飲料に端を発している。この大衆飲料は戦後、進駐軍兵士たちの飲んでいたハイボールカクテルにヒントを得て誕生したという。ハイボールの発祥は禁酒法時代にカクテルブームを起こしたアメリカ。粗悪なアルコール(酒)を旨く飲ませるために考案されたミックス飲料で、焼酎ハイボールの誕生した動機も同じである。

<6-11>ねこの秘密(山根明弘)

田舎の猫の出産では、異母兄弟はほとんど生まれていませんでしたが、都会の猫の約8割が異母兄弟でした。都会の雌猫は発情すれば、たいてい複数のオスと交尾していることを意味します。さらに都会では、猫が一度の出産で5匹の仔猫を産んだら、5匹とも父親が違うケースが6例もあったそうです。

<6-12>女は男の指を見る(竹内久美子)

1羽の母鳥が産んだ卵からかえったヒナの中にどれだけ浮気の子がいるかという研究が、1990年代初めにかけてすごい勢いで行われ、研究論文も怒涛のごとく発表された。なかでも「とんでもない」のは、ルリオーストラリアムシクイという、オスがこの世のものとは思われないほどに美しい鳥のケース。1腹子のうち平均で78%もが「夫」以外の「オス」の子だったのです。

<6-13>”食の安全”はどこまで信用できるか(河岸宏和)

日本卵業協会のホームページに、温度とサルモネラ菌の関係が書かれているページがあります。それによると、卵は10度保管で57日間、29度保管で15日間持つとなっています。問題は36度保管の場合です。なんと1日で、食中毒になるレベルまで、サルモネラ菌が増えてしまいます。

<6-14>コンクリートが危ない(小林一輔)

分譲業者とゼネコンとの間の請け負い契約では、責任追及ができる期間は引渡しから10年間とされており、この間は欠陥の責任をゼネコンに転嫁することができる。

<6-15>お坊さんが困る仏教の話(村井幸三)

現在、私たちが目にするのは短くて6文字、長い方は9文字程度で、全体を戒名と呼んでいますが、正しく言えば、戒名はそのうちの2文字だけで、あとは付け足しといっては語弊がありますが、飾りのようなものなのです。

<6-16>ネットはテレビをどう呑みこむか(歌田明弘)

官邸の中に入って取らなければならないような1次情報やインサイダー情報はもはや重要ではないし、スクープも重要ではない。「それは通信社などにまかせて買えばよい」という。その理由は、「これまで情報を発信するのはプレスの特権だったけど、インターネットの時代は情報を独占するのではなくて、オープンに早く情報を出す。だからインサイダーになって情報を得ることはもはや重要ではないんです」と答えている。

<6-17>出井伸之 多様性への挑戦(出井伸之)

ビルゲイツさんが非常に偉いのは、将来の夢を語るときに、3世代ぐらい先を語ることです。

<6-18>仕事のルール(浜口 直太)

自分が動けば影も動きます。影にあわせて自分が動くことはありません。というように、環境を変えたかったらまず自分を変えよという原理です。

<6-19>酒乱になる人、ならない人(真崎敏弘)

子供が飲酒をしてはいけない理由。①頭が悪くなる。エタノールが神経細胞を殺してしまうからです。②精神的に大人になれない。ストレスに対する反応が決定される時期に飲酒への退避の回路が形成されることは、その後の人生におけるストレス回避のための正しい方法が身につかない。③長生きできない。自動車事故と自殺がいずれも飲酒と高い確率で関連しているということです。また、アルコールによる慢性的な身体合併症によるものです。

<6-20>接待の一流(田崎真也)

中国料理では、前半の2、3皿目にメイン料理を食べる傾向にあります。たとえば、フカヒレの姿煮やアワビのオイスターソースなどの料理は、前半にもってきます。後半は、どちらかというとご飯のおかずっぽいものになります。日本の会席料理では、前半の椀盛で出汁の質や料理の技量がわかり、刺身で仕入れる素材の質がわかります。つまり、この2皿で店の資質がわかるといわれているのです。

<6-21>インド人の頭の中(宮元啓一/石飛道子)

仏教の世界認識の出発点は苦である。人生が苦であることを、仏教は「四苦八苦」で説明する。狭い産道にいやというほど締め付けられて誕生するという生苦、老いの苦しみである老苦、病んで苦しむ病苦、そして死苦、以上が物理的、生理的な4つの苦である。これに、愛するものといつかは別れなければならないという愛別離苦、いやなやつとも顔を合わせなければならないという怨憎会苦(おんぞうえく)、ほしいものが手に入らないという求不得苦(ぐふとくく)、総じて心身が活動して生きていることじたいが苦しみであるという五陰盛苦(ごおんじょうく)の4苦を加えて8苦となる、という勘定である。

<6-22>理想と決断(桑子敏雄)

何もしないということは、文字通り何もしていないことではない。むしろ、何もしないということを選択していることである。だから、決断しないということで、責任を逃れられると考えるのはまちがいである。決断するにせよ、しないにせよ、行為者には責任が生じるのである。

<6-23>僕がホンダ・ソニーで学んだこと(堀之内克彦)

人は権力を持つと変わってしまうものなのだそうです。社会心理学者のデヴィット・キプニスという学者の実験でもそうした結果が出ています。人は権限をもつと、オモチャを与えられた子供とおなじように使いたくなるのだそうです。その権限が強力になればなるほど細かいことに口を突っ込み、多くの指示や命令を出そうとするのです。例外はないそうです。

<6-24>あなたの市場価値(箭内昇、山崎元)

一つはエリートを信用してはいけない。もう一つは個人は最終的に、国を含めて組織というものに頼ってはいけない。

<6-25>くさいはうまい(小泉武夫)

鰹節を削って、だしを取るとわかることですが、煮だしの上に油脂成分が全く浮かんでこないということです。これはすごい。あれだけの脂肪の乗った鰹が原料魚なのに、いったいあの油はどこに消えたのでしょうか。その答えは、やはり醗酵中の鰹節菌が「油脂成分を見事に分解してしまったからなのです。鰹節菌が鰹の表面で増殖中に油脂分解酵素(リパーゼ)を分泌して、油脂成分を脂肪酸とグリセリンに分解してしまったからなのです。