その8

<8-1>人間にとって成熟とは何か(曽野 綾子)

多くの現代人は、加齢とともに皺になることは恐れても、言葉を駆使できない人になることをあまり恐れない。

<8-2>司馬遼太郎全講演[1](司馬遼太郎)

人間は今日まで成長してきましたが、もうひとつ成長し足りないところがあります。それは、思想というものが尊いということを、どこかで覚えこんでしまったことにあります。あるいは、宗教は尊いと、どこかで覚えこんでしまっています。もちろん宗教も思想も尊いのです。しかし、18世紀、19世紀そして20世紀の半ばまでの人たちが思っているほどの尊さは、今はないと思います。

<8-3>酒乱になる人、ならない人(真崎敏弘)

酒を飲むと太ると思うかもしれませんが、それはエタノールそのもののカロリーによるものではなく、エタノールによる食欲増進作用やもともと酒に含まれる糖質などの栄養素が関連していると考えられます。実際アルコール依存症の患者さんのように大量のエタノールを長期にわたって飲む人はだいたいやせてきます。

<8-4>「英語公用語」は何が問題か(鳥飼玖美子)

そもそも日本は世界に冠たる翻訳大国なのだから、それを生かさないのは惜しい。日本語を学ぶ外国の人たちの学習動機は、日本のマンガやアニメなどのポップカルチャーに惹かれる場合が多いが、もう一つ目立たない動機があり、それは「日本語ができれば、世界中の本が読める」ということである。私が通訳学や翻訳学の理論書を日本語訳したのは、韓国の研究者から「日本語での理論書があれば読めるので助かる」と言われたことが契機となった。

<8-5>組織力の経営(慶応戦略経営研究グループ)

循環型社会の中で企業はどのような役割を期待されているのだろうか。循環型社会における企業のあり方を考える上での重要なキーワードは、「拡大生産者責任」という概念である。「拡大生産者責任」とは、生産者としての企業が自ら生産する製品の生産や使用の段階だけでなく、使用後の廃棄物となった後まで責任を負う、という考え方です。

<8-6>学習する組織をつくる(カレン・E・ワトキンス、ビクトリア・J・マーシック)

個人は行動・知識・態度を変えることによって学習し、チームは協力して働く段階を経て学習する。

<8-7>うなぎでワインが飲めますか?(田崎真也)

ホスト・テイスティングは、主にワインの栓に使われているコルクの汚染によるワインの劣化をチェックするために行なう大切な行為であり、それがホストの役割なのです。このダメージは、実際流通しているワインの5~6%や7~8%ともいわれている。

<8-8>考えないヒト(正高信男)

私たちが目の当たりにしている生き物とは、遺伝情報の乗り物、あるいは器(vehicle)にすぎないとまで断じた。

<8-9>モグラ博士のモグラの話(川田伸一郎)

哺乳類は必ず耳の奥、つまり耳の穴の行き止まりになっている鼓膜の内側(中耳)に、3つの小さな骨を持っています。この骨が哺乳類の特徴であるというのはこういうことです。僕たち哺乳類は爬虫類のあるグループから進化してきたのですが、哺乳類のツチ骨キヌタ骨に当たるものは、もともと爬虫類の上あごと下あごの関節を構成する骨だったのです。爬虫類から進化する過程で、哺乳類はこのあごの関節を使うのをやめて、耳の奥に小さな骨としてしまっておき、音の振動の増幅に使うことにしたわけなのです。

<8-10>ホルモンを制すれば男が蘇る(桐山秀樹)

EDは、高血圧、糖尿病、心筋梗塞、前立腺肥大症、うつ病といった生活習慣病の前兆として起こることがすでに最新の研究などで明らかになっている。EDは、実に恐ろしい「病気のサイン」なのである。

<8-11>「うまいもん屋」からの大阪論(江弘毅)

約80年前、1935年に建てられたこのイスラム寺院は、「トアロード」と「ハンター坂」を東西に結ぶ中山手通りにある。95年の阪神・淡路大震災にも耐え、東京と名古屋にあったモスクが戦災や老朽化で姿を消した今、日本で唯一のモスクとして観光の名所ともなっている。

<8-12>実践する経営者(P・F・ドラッカー)

スタッフの仕事を一生の仕事にさせてはならない。一時の仕事にしなければならない。スタッフの仕事を5年から7年やらせたあとは、現業に戻す必要がある。再びスタッフの仕事につかせるのは、現業の仕事を5年程度こなした後にするべきである。さもなければ、彼らは間もなく側用人、黒子、プロシア陸軍の参謀になる。

<8-13>どうすれが本当においしい料理店に出会えるか(西部一明)

賃貸料のある料理店では、普通は原価率を3分の1程度に抑えます。要するに料理界においても材料費などを全体の3分の1程度に抑えるわけで、お客様が支払ったお金すべてが料理に使われるわけではないのはご存知の通りです。銀行から借金をして利子や元金を返しながら税金も払ってとなれば、2割5分ということになるでしょう。

<8-14>ついにやってきた!電気自動車時代(舘内端)

EUのCO2排出量規制の強化です。2020年の95gCO2/kmという規制は、日本流に直すとリッター24.4kmになり、大変厳しいのです。これを達成できなければ経営が破綻するほどの罰金が科せられますので、EUの自動車メーカーは、みな真剣に電気自動車を開発しているのです。

<8-15>世界の日本人ジョーク集(早坂隆)

日本では地震の時は「机の下に隠れなさい」と教えられるが、ルーマニアでは「部屋の隅に立ちなさい」という。

<8-16>上達の法則(岡本浩一)

学習の後、忘却が生じるが、忘却は徐々に生じるわけではないことがわかっている。忘却は、学習から24時間後、72時間後、そして6~7日後に大きく生じるのである。

<8-17>モチベーション入門(田尾雅夫)

40代も半ばになれば、それまでよりも自分に残された可能性と限界とがくっきりと見えてきて、正確に自分のイメージが把握できるようになります。この歳になるとそれなりの立場をわきまえて燃えなければならないのです。若気だけを誇っていてはバカ気にしかなりません。

<8-18>「水」をかじる(志村史夫)

「上善水の如し」、つまり、最高の善というものは水のようなものである。水はどのような「最高の善」なのか。「すべての物を善く生かし、しかも、すべての物と争うことはしないし、多くの人が嫌がる低い位置に進んで身を置く」のである。

<8-19>新聞があぶない(本郷美則)

日本新聞協会業務部の調べによると、1999年10月時点で、一般日刊紙のうち郵送されているものは0.1%にすぎない。したがって、郵送料の割引という点では、大多数の新聞に第3種郵便物認可は必要なさそうだ。ところが、公職選挙法第148条に「第3種郵便物の認可のある」新聞・雑誌でないと、選挙報道が許されないという重大な規定が被せられているのである。これは、候補者や政党がにわか仕立ての新聞・雑誌を使って選挙運動をすることを排除するするための規則だ。

<8-20>カルロス・ゴーンが語る「5つの革命」(長谷川洋三)

反対されるということは、私にとっては主要な敵ではありません。敵となるのは、事態をなんとも思わない人です。

<8-21>40歳からの元気食「何を食べないか」(幕内秀夫)

久しぶりに休暇をとって、家族で温泉旅行に出かけたとします。ところが家に帰るころになるとなぜか疲れている。原因は美食だと思う。心や体を休めているつもりでも、胃袋だけは普段より酷使されているわけです。これが人を疲れさせているのだとしか思えません。

<8-22>男のマナーにはツボがある(城田美わ子)

焼香の回数については、宗派によって決まりがあったりしますが、一般的には1回から3回とされています。丁寧に1回でいいでしょう。

<8-23>合併人事(三神万里子、細江浩之)

欧米では、従業員の業務はトレーニングによって質を高められるが、幹部層のマネージメント業務は根本的な資質が左右するという考え方があります。

<8-24>ガソリンの本当の値段(岩間剛一)

バレルという単位は「樽」が語源とされているといわれており、その昔、石油がまだ”燃える黒い水”とされていた時代に、石油産業発祥の地、米国において、原油をシェリー樽に詰めて輸送し、売買されたことから現在も原油の容積単位はバレルとされている。さらに、シェリー樽の内容量が159リットルだったことから、現在もその容量が受け継がれている。また、1米ガロンは、1リットルに換算すると約3.785リットルとなる。42米ガロンで1バレルになる。

<8-25>スパイスなんでも小事典(煮本香辛料研究会)

バニラの芳醇な香りは、数百種類の香り成分が交じり合ったものですが、原料となる種子(バニラビーンズ)が詰まった青いインゲンマメのような莢に香りはありません。収穫後に発酵と乾燥を繰り返す「キュアリング」により、香り成分が生成されて香りが立つのです。収穫した莢をまず熱湯に数分間くぐらせ、暖かいうちに布でくるんで木箱に詰め、二日間ほど置きます。その後、昼間は天日干し、夜はまた暖かいうちに布でくるんで木箱に詰めることを数週間繰り返します。すると莢の中でバニラビーンズの発酵と熟成が進み、バニラの香りが立ってくるのです。こうした手間のために、バニラは、サフランに次いで高価なスパイスになっています。