ガーデンハックルベリー

 わが菜園で栽培しているベリー類は、ストロベリー、ラズベリー、ブルーベリー、ブラックベリーの4種類である。それぞれに個性があり、毎年収穫を楽しみにしている。そこへ今年は新たに第5のベリーが参入することになった。ガーデンハックルベリーである。

 ホームセンターの園芸コーナーをうろついているときに見つけた。詳しい説明書きを見ることなく、「ガーデンハックルベリー」の“ベリー”の部分と、ブルーベリーのような実の写真を見ただけで購入してしまった。自宅へ持ち帰り説明書を読むと、「ビタミンAがブルーベリーの4.7倍含有。ジャムにしてお召し上がりください」となっていた。裏側には、ナス科の1年草で、未熟果には毒性のソラニンが含まれているので多く摂取しないように、と書かれていた。あっけなく、第5のベリーは吹っ飛んでしまった。ナス科といえば、トマトと同じである。そう思い直し、栽培を開始することにした。いろいろと調べてみたが、あまりいいことが書かれていない。「そのままでは美味しくない」「未熟な実や葉や茎、ガクの部分などにはソラニンという有毒な成分が含まれているので食べてはいけません」「無数の種が入っています。生のまま食べると、甘味は無く、独特の臭みがあって全く美味しいものではありません」等々。食べ方としてはジャム以外になさそうである。色は確かにきれいな濃い紫色をしていてブルーベリーのようである。大きさもよく似ている。

 緑色の実が、濃い紫色からほとんど黒に近い色にまでなる。しかし、まだ完熟ではないらしい。実の根元についているガクの部分が、枯れたような状態になって初めて完熟らしい。色付いてから1か月経つが、まだガクの部分は緑色をしている。いったいいつになったら完熟するのだろうか。実の付き方は独特で、小型のブドウといった感じである。15~20粒くらいが一ヵ所に固まってできる。これが木のあちこちに無数にできる。実の重さで枝がぐにゃりと曲がってしまう。支持棒を数本差して枝を支える。そうして収穫した実は6kgである。直径25cmのザルで4杯の量である。

 収穫を終えたガーデンハックルベリーの調理である。味がないということなので、ジャムを作るにはやや多めの砂糖を必要とする。それと同時に酸味を加えるためにレモンを使用する。わが菜園で栽培しているレモンは、酸味はやや弱いが風味がいいのでこれを使うことにする。まず灰汁を取るために重曹を入れてひと煮たちさせる。湯がきれいな緑色になる。濃い紫色の実を入れているにもかかわらず緑色になる。おそらく重曹と化学反応を起こしているのだろう。詳細は無視してレシピ通りの作業を続ける。湯を捨てて実を取り出し煮込んでいく。実の皮が固いのでハンドミキサーでつぶす。砂糖、レモンを投入し味見をしようと思うが、臭いを嗅いだだけであまり乗り気がしてこない。思い切って味見をしたが、やはり予想どおりであった。まずい。ややえぐみが口に残る。とてもこれをジャムやソースにして食べる気になれない。今まで作ったジャムとしては最悪なものとなった。スイカジャムもあまりおいしくはなかったが、食べて食べられなくはなかった。

 食べるのをあきらめて、このきれいな紫色を生かすことにした。染料用として、1升瓶1本分を保存することにした。

<ガーデンハックルベリーの木>

 

<ブルーベリーのような実>