レモン

 菜園の北側にレモンの木が1本植えてある。鍋物やフライ、サラダ、焼き魚などを食べるときに、あれば重宝するなと思って数年前に植えた。

 レモンは袋入り(2、3個)を購入しても、使用するのは1個で残りは冷蔵庫でじっと待機、という感じではないだろうか。では、残りはいつ使うかとなると・・・。とはいっても、あるのとないのでは、食卓での満足度が違う。必要に応じて、手軽に入手できる方法はというと、菜園内に木があればいい、ということになる。ただし、秋から冬の期間限定ではあるが。

 レモンに関してはまったく知識もなく、ただ必要性のみで木を購入した。1年目から多くの実をつけた。春になると花が咲き、柑橘系の強くていい匂いがする。人間だけでなくアリにも刺激的な匂いなのだろう。多くのアリが木に登ってきて蜜を食べる。どさくさに紛れて花もかじっているようである。結構な数の花が落下してしまう。わが菜園のレモンはリスボンという品種である。酸味が弱く、やや丸みのある形をしている。一般に売られているラグビーボールのような楕円形ではない。花は枝の先の方に十数個まとまって咲く。木が自ら数個は実を付けないように落下させてしまう。あとはアリ次第であるが、それでも3、4個は実ができる。実の重さで枝がぐにゃりと曲がってしまう。レモンの木はカキと違って粘りがあるので折れることはない。

 木が植えてあるさらに北側が、残渣(栽培後の木や葉)置き場になっており、ここで数年間かけて腐葉土にしている。ここで発生した肥料分を大量に吸収しているものと思われる。一度も肥料を施したことがないにもかかわらず、100個を超えるレモンが収穫できる。もともと、食卓の添え物として重宝すると思って栽培したものが、数の多さで主役になってしまった。レモンの収穫時期は、緑色から黄色になる11月から2月末までである。その後も木に付けたままにしておくと、春の開花に影響が出る。今のところ、レモンに関しては、最適な保存方法を確立していないので、4か月間で100個以上のレモンを消費しなければならないのである。食べ方もいろいろ試してみたが、いいものが見つからない。レモンジャム(マーマレード)を作ったが、これは大失敗であった。皮ごとスライスしたレモンを鍋に入れ煮ていく。皮が柔らかくなり、とろみがついたところで火を止め瓶詰めにする。粗熱を取って冷蔵庫へ保管。翌日食べようと取り出して、スプーンを入れるが跳ね返される。羊かんよりも固くゴムのようである。さらに、皮はするめのように固い。なんじゃこれは・・・。パンに塗れなくて乗せて食べたが、皮が口に残る。ジャムが固くなるのは、レモンに多く含まれるペクチンが原因のようである。ジャムとしての利用はあきらめた。結局、最も一般的なはちみつレモンというところに落ち着いた。二種類あるはちみつレモンの一つ目は、レモンをスライスしてはちみつに漬けたものを食べる食べ方である。これは1回にせいぜいレモン半個分程度が限度である。これでは100個の消費は無理である。二番目の食べ方が、レモンを絞り、それにはちみつ、ショウガとウコンの粉末に水を加え、スポーツドリンク風にするのである。これを持ってスポーツクラブである。1リットルでは足りないくらいであるが、これ以上は重たくて持ち歩くのが大変である。この方式なら、毎日1個の消費は可能である。残った皮でレモンピールを作る。ただし、健康のため出来上がったものにグラニュー糖はまぶしていない。

 これらの食べ方で、秋から冬にかけて毎日レモンをほぼ1個食べている。最近ではレモンを見ても唾が出てこない。しかし梅干しは唾が出る。慣れとは恐ろしいものである。

 

<1カ所にこんなに多くの花が・・・>

 

<結局実になるのはこれだけ>

 

<徐々にレモンらしい形に>

 

<そろそろ食べ始めないと間に合わない>

 

<完熟状態>

 

<大量のレモンピールだが、もう1回分残っている>