カフスボタン

 
 

 これらは錫製のカフスボタンである。殻付きピーナツの中で、最もピーナツらしい形のもので、大き過ぎないものを選び出す。それらを石膏で形をとる。そこへドロドロに溶かした錫を流し込む。錫は融点が低く加工がしやすい。しかし、表面張力が強く流し込むのが難しい。一気に流れ込む錫の湯を適度に調整し型に流し込む。流し込んだ錫はすぐに温度が下がり硬化する。硬化する前にカフスボタンの金具を埋め込まなければならない。まさに時間との闘いである。本体に垂直に、かつ埋め込む深を調節しながら行う。硬化したものの表面をきれいに成形する。これだけでも金属的な光沢がきれいなカフスボタンが出来上がる。しかし、あまりにも金属的な光沢が強すぎるので、色付けをすることとした。もっともピーナツらしい色にするために選択したのは金色。これは結構本物らしい色合いになった。殻付きピーナツの中に紛れ込ませてもすぐには気が付かない。見事な出来上がりである。これともう一つは、黒系のスーツによく合うように、黒色を施すこととした。これはこれで結構シックな感じがして気に入っている。ただ、問題がないわけではない。それは、カフスボタンを付けるような正装をする機会がないことである。ということで、これは趣味の技術を向上させるための訓練ということで、一作品として保存することとする。