果実酒

 果実酒というと、思いつくのは梅酒である。最も一般的で旨いからである。梅雨前ごろに出回る梅をきれいに掃除して、ホワイトリカーに漬ける。適量の氷砂糖を入れる。ちょっと甘みが強いほうがいい。夏の暑い夜に、オンザロックで飲むと最高に旨い。漬けて半年もすれば立派な梅酒であるが、やはり長年寝かせた方がいいのは間違いない。我が家には25年物の梅酒がある。色はコーヒーと並べても見分けがつかない。それほどまでに色が変わってしまっている。色だけ見たのではとうてい梅酒とは思えない。自分で作り、保存してきたからこそ飲めるが、他人がこれを持ってきても恐ろしくて飲めない。それくらい色が変わってしまっている。これはまったりとして、かつとろりとして角がない。梅のツンツンとした主張がすっかりと姿を消している。完全に梅が別物に変身している。これをカットグラスに入れて、オンザロックで飲むとさらに美味さが増す。やや甘みを強くしてあるのでつまみはいらない。アルコール度数は35度あるが強さを感じない。したがって、最初に量を調整しておかないと、いくらでも飲んでしまう。要注意である。

 今年はブラックベリーが豊作で、大粒のものがバケツに2杯程度収穫できた。ジャムにするには煮詰めるのが大変なので、ソースに加工した。これならそれほど長く煮詰める必要がない。しかし、作業の大変さは相当なものがある。それはブラックベリーの種にある。イチゴやブルーベリーの種はそのまま口に入れても大丈夫であるが、ブラックベリーはそうはいかない。1口に1個の種が入っても、気になって食べられない。それほど食味を左右する。そのため、これだけの量を全部ソースにするのは大変である。少しでも量を減らそうと、ホワイトリカーに漬けて果実酒にすることにした。見た目は真黒であるが、漬けるとやや赤みのあるきれいな色になった。味に特徴がない上に香りもそれほどではない。そこで、レモンを少々入れて、酸味と香りをつけることにした。これがいいほうに出てくれることを期待しながら、数年寝かせることとする。どのように変化するのか楽しみである。

<コーヒー?>

 

<数年後が楽しみ!>