雑草

 雑草魂といえば、苦難に遭ってもたくましく生きていくといった、力強いものを思い浮かべる。人生においては非常に参考にするべき言葉である。しかし、場所が家庭菜園となれば一変する。絶対に雑草には雑草魂を持ってもらいたくない。むしろ、ひ弱で繊細、暑さ寒さへの適応性なし、他の植物との競争力なし、といったような特性を有してもらいたい。そうすれば、家庭菜園というものがもっと楽しく有意義で、実り多いものになること間違いなしである。現状では、春先から夏野菜の収穫が終わる初秋ごろまで雑草との闘いである。梅雨の長雨でしばらくご無沙汰していると、見た瞬間にびっくりするぐらい雑草が一面に広がっている。雑草を刈り取りほっと一息ついていると、また元通りになってしまう。わざわざ原状回復してもらう必要はないのである。

 毎年菜園内で刈り取る雑草はものすごい量になる。これらはすべて乾燥させたのち残渣置き場に集積し、数年かけて腐葉土として菜園に戻している。野菜の栽培方法として自然栽培という方法もある。雑草を全く刈らず、共存させる栽培の仕方である。いくら雑草を刈ってもすぐに元通りになる。もし雑草を刈らなければどうなるのか? いくら雑草が生えるといっても限度があるはずである。雑草の横から雑草、雑草の上から雑草、雑草と雑草が重なり雑草のじゅうたんができる、というようなことにはならないだろう。どこかで限界が来るだろう。その限界まで放置したときに、野菜や果物が耐えられるかどうかである。もし、耐えることができるのであれば、雑草は単に見た目だけのことであるから、そのまま放っておけばいいのである。栽培植物の肥料を横取りされる心配があるのであれば、少し多めに施せばいいだけのことである。除草作業に比べれば簡単なことである。

 何事にも疑問を持ち、チャレンジすることを信条としているので、さっそくこれを試してみた。といえば聞こえはいいが、実のところは気が付けば雑草だらけ、手の施しようがなかったのである。ピーナツは「菜園日記」でも書いたように、子房柄が地中に入り実を結ぶ。したがって、花が咲きだしてからは株を動かすことは厳禁なのである。せっかく地中に入った子房柄を抜いてしまうからである。仕方なくそのままにしていたところ、雑草でピーナツの葉が見えなくなってしまった。それでもしっかりと育ってくれていると信じ、そのまま放置することとした。

 夏も終わり、雑草が恐ろしいほどの種を実らせている。ピーナツはすべての子房柄がしっかりと地中に入ったころである。雑草の種がばらばらと落ちるのをしっかりと目にしながら抜いていく。おそらく来年はこの数百倍の雑草が生えるだろうなと思いつつ。ようやくピーナツの株が見えてきた。ぐったりと地面にはいつくばって耐えていた。実際には、この方が子房柄が地中に入りやすいのであるが・・・。雑草に負けたのか、雑草のおかげなのかは収穫してみなければわからない。そしてその結果は、・・・全くの不作であった。今まで5年間ピーナツを栽培しているが、最悪の結果となった。雑草に負けたとは思えない。今年は雨が多かったので、乾燥地向きのピーナツには不向きであったと思われる。同じく乾燥地向きのサツマイモもまったく不作であったことからもそう思いたい。決して雑草には負けないと信じたい。来年こそ見せてくれ、ピーナツ魂を!

<ピーナツはどこ?>