黒ニンニク

 毎年ニンニクを70株程度栽培している。なぜそのような数になるのか? それは栽培面積と関係がある。連作障害を起こさないように、菜園内を15区画に分割して栽培している。したがって、ある種の野菜を栽培する場合は、最低でも1区画を使用することとなる。その最小区画にニンニクを植えるとだいたいその数になるのである。むりに植える必要はないのであるが、それはそれでその空いた空間が気になるのである。したがって、目にやさしい数を植えることになる。あちこちで書いていることであるが、収穫したものは確実に処理をするということを基本としている。今までは、酢ニンニクや醤油漬けニンニクにして食べていた。醤油漬けはニンニクも醤油も美味しいが、酢ニンニクはあまり口に合わなかった。餃子を食べるときくらいしか効果を発揮しない。そこで、何とかこの数をうまく食べきる方法を考えていた。そんな時、三宮にある某都市のアンテナショップで黒ニンニクを見かけた。効能書きには健康に非常にいいという内容のことが書かれていた。健康にいいとなれば、これは早速試してみないわけにはいかない。

 黒ニンニクを作るためのレシピを準備した。それには炊飯器を保温にして、10日から2週間程度かかるとなっていた。えーーー、そんなに長い期間を要するのか? というのが第一印象である。そこには面白いコメントが書かれていた。「保温をし続けなければならないので、日常使用している炊飯器は使用できません」とわざわざ忠告をしてくれていた。常識で考えてもそうだろうなということはわかりそうではあるが・・・。これを親切と受け取り先へ進むこととした。さて、そんな日常使わない炊飯器があるだろうか・・・。探せば出てくるものである。いきなり大量に作って失敗というのは情けない。かといって、1個では成功かどうかの見極めが難しい。では、ということで、2個で開始である。もう1つ注意書きがあった。初日から強烈な臭いが発生するので、人気のないところに設置するように、となっていた。しかし、これをあまりにも甘く考えていた。例のごとく何でもアトリエで作業をする習慣が間違いを引き起こした。翌日アトリエを開けてびっくりである。臭い。ニンニクの臭いが充満している。くさや以来、2度目の悪臭攻撃である。めまい、頭痛、吐き気といった、危険な症状のすべてが出てきそうである。これではもし本当の病気になった時に判断ができない。早速空気の入れ替えとファブリーズである。このまま2週間も続けることは到底できない、ということをわからせてくれるのに十分な臭いであった。延長コードと炊飯器を持ってガレージへ移動した。ここなら2週間でも苦にならない。そこで保温を再開した。

 さて、出来上がった黒ニンニクは・・・・、色は確かに黒いがカッチカチである。まるで黒い軽石といった感じである。発酵とともに乾燥が進んだようである。においもニンニク臭が強い。砕いて肉やサラダにかけて食べることくらいしかできない。そのままではとても食べられない。再度挑戦である。今度は乾燥させないように、湿らせたガーゼをかけて保温し、適宜ガーゼに適量の水分を補給しながら保温した。

 ちなみに、2週間の保温といえば、スズメやジュウシマツなどの小鳥の卵が孵化するのと同じ期間である(ニワトリのように大型の鳥は3週間を要する)。あの真っ白なニンニクは、2週間で真っ黒なニンニクに生まれ変わったのである。これを食べることで、小鳥のように大空を羽ばたくことができるのだろうか、それともちょっと期間は短いがニワトリのように力強く大地を駆けまわることができるのだろうか? 今のところ、黒ニンニクの効果は実感できていない。何事も継続は力なりである。もう少し続けてみることにしよう。

<真っ白なニンニクでスタート>

 

<カッチカチの黒ニンニク>

 

<最挑戦で大成功! 見た目はタマネギ?>

 

<ばらばらにして冷凍保存>