その22

<22-1>10年先を読む長期投資(澤上篤人)

「景気回復を確認してから」では、出遅れるだけだと思います。株価は面白いもので、景気や企業実績にいつも半年から1年ほど先行するからです。景気回復を見極めてから株を買いにいったところで、株価全般はとうの昔に上昇のトレンドに乗ってしまっているでしょう。

<22-2>味と香りの話(栗原堅三)

女王フェロモンの存在が、はたらきバチをこのような苦役に駆り立てるのである。もし、十分な女王フェロモンがゆきわたらないと、なたらきバチはとたんに怠けて職場放棄してしまう。女王フェロモンの第2の役割は、新しい女王バチがあらわれないように、はたらきバチの卵巣のはたらきを抑制し、卵を産まないようにすることにある。事実、女王バチが巣からいなくなると、女王フェロモンの支配がなくなるので、はたらきバチの卵巣が発達し産卵が開始される。

<22-3>不運のすすめ(米長邦雄)

肝心なのは、負けたあとにどうするか、「不運」の渦中でどのように動くか、である。将棋も、人生も、この一手の違いで、その後の展開は大きく変わるのである。

<22-4>下流社会第3章(三浦展)

階層意識と相関するのは「焼肉屋」と「とんかつ屋」である。なぜか牛肉と豚肉なのだ。そして「イタリア料理」。この3つは多少価格が高いせいか、階層性がある。

<22-5>大人の見識(阿川弘之)

昔アメリカの音楽評論家が、ベートーベンの交響曲最終楽章の終わり方について書いた小論文を読んだら、第五でも第九でも「もうすぐ終わる。いよいよ終わる。さあ終わるぞ。ほんとに終わる。終わった。ついに終わった。終わって閉じて封印した」という風に終わると説明してありましたが、僕はせっかちだから、そんな終わり方をしたくない。

<22-6>生きる意味(上田紀行)

フリードマンは、マクドナルド理論についてこう言う。「ハンバーガーチェーンのマクドナルドが存在する任意の2国は、それぞれにマクドナルドができて以来、互いに戦争をしたことがない」

<22-7>外交の大問題(鈴木宗男)

メルケルのお父さんはルター派の牧師でした。ところで、ドイツは国が東西に分かれて冷戦状態にあった。だから、ベルリンの壁ができてからは、行き来できなくなったと、一般には思われています。しかし、日本では知られていない事実があるんです。実は教会だけは別だったんです。1970年ごろまで、教会だけは東西が一体だった。だから、メルケルのお父さんは、通常の人事異動で西ドイツから東に行っているわけです。

<22-8>水戦争(柴田明夫)

世界の水ビジネスの本命はミネラルウォーター市場ではなく、水道事業および海水淡水化関連事業などの淡水供給市場である。あまり知られていない事実だが、世界には「ウォーターバロン(水男爵)」と称される圧倒的な力を持つ3社の水企業が存在する。フランスのスエズ社、ヴィヴェンディ社、及びドイツのRWE社が保有するイギリス本拠のテームズ・ウォーター社だ。

<22-9>さおだけ屋はなぜ潰れないのか?(山田真哉)

「同じくらいの価値のあるモノ(現金や商品・サービス)同士を交換する」というあたりまえの原則を無視すると、商売はうまくいかない。

<22-10>ど真剣に生きる(稲盛和夫)

たまたま若くして好きな仕事に就ければ幸いかもしれませんが、自分の好きな仕事というのはなかなかあるものではありません。就職した会社で、与えられた仕事を自分の天職だと思えるように自分から仕事に惚れていかなければ、仕事を一生続けていくことはできません。幸せな人生にするか不幸な人生にするかというのは、社会に出て最初に与えられた仕事を自分から進んで好きになる努力をしたかしないかで決まるような気がしますね。

<22-11>10年後の日本(日本の論点編集部)

虐待は親子間で受け継がれるという特徴があることだ。被虐待児が成長して親になったときに、今度は自分の子供を虐待する側に転じてしまうケースは非常に多い。

<22-12>学歴社会の法則(荒井一博)

英語自身の中にもJapaneseのような日本人蔑視の単語があります(語尾にeseとなる英語の民族名は蔑視の表現です)。

<22-13>3種類の日本教(島田裕己)

自己の価値を再評価し、それを肯定的に表現する点で、自己分析は、すべての事柄を前向きにとらえるポジティブ・シンキングに近い。ポジティブ・シンキングは、新宗教でも自己開発セミナーでも共通に用いられる自己改造、自己洗脳のためのテクニックである。

<22-14>安全と安心の科学(村上陽一郎)

よく事故の説明に「スイスチーズ・モデル」が使われます。別に「スイス」でなくとも穴の空いたチーズはあるでしょうから、この命名はぴんときませんが、とにかく穴の空いたチーズのスライスを何枚も重ねれば、普通は通ってしまうことはないのに、何かの拍子でそれぞれのスライスの穴の部分が重なってしまうと、穴が貫通する。

<22-15>お客に言えない食べ物の裏話(マル秘情報取材班)

米の場合、混ぜ合わせてしまえば、米づくり・流通のプロでも、その真偽を見分けるのは相当難しい。そのため、あらゆる商品の中でも、米ほど表示があてにならないものはないといわれる。

<22-16>スズメの少子化、カラスのいじめ(安西英明)

スズメの中国名は麻雀で、この名のゲームは、4人でかき混ぜるパイの音がスズメの声に似ていることに由来するそうだ。

<22-17>わかる!コンプライアンス(浜辺陽一郎)

法律には、相手の不正を追及する者は、自らの手がきれいでなければならないという「クリーンハンドの原則」という考え方もあります。

<22-18>1秒もムダに生きない(岩田健太郎)

現在の日本では、テレビ・新聞の利用者は減っています。この大きな理由に「高齢化」があります。高齢者ほど、情報源が「テレビと新聞だけ」だからです。若者になればなるほど、それ以外の情報源も活用しています。したがって、今後テレビも新聞も相対的な価値をだんだん下げていくのは必然でしょう。

<22-19>シンギュラリティ・ビジネス(齋藤和紀)

労働から解放された「先輩」に、馬がいます。かつての社会では、軍事、農業、物流などで膨大な数の馬が働いています。しかし産業革命で労働力としての馬は不要になりました。ごく一部は品種改良されてサラブレッドとして競走に駆り出されていますが、今ではその数もだいぶ減り、大半の馬が牧場でのんびりと草を食んでいます。働く必要がなくなった人間も、それと似た道をたどるのかもしれません。ほとんどの人々はのんびりと日々を過ごし、一部の「サラブレッド」だけが競争に明け暮れる。競争の「勝利」が何になるのかわかりませんが、たとえそれによってベーシック・インカムを超える収入を得たとしても、あらゆる物やサービスが非収益化しているであろう社会では、おカネをたくさん持つことの優位性はほとんどなくなります。だとすると、「牧場」でのんびりと暮らすにしろ、「サラブレッド」として走り続けるにしろ、それぞれの個人が人間としての尊厳を何によって保つのかが、極めて難しい問題になります。これは、哲学や心理学などの分野で検討されるべきテーマかもしれません。エクスポネンシャルな社会変化に人間の「心」が追い付いていけなかった場合、それは「ユートピア」ではなく、AIに支配される「ディストピア」になってしまうかもしれないのです。

<22-20>臓器の急所(吉田たかよし)

地下貯蔵庫に集められた多くの種子は、数千年の保存期間が保障されている。大麦の場合は2000年、小麦で1700年、とうもろこしでは2万年もの長期保存を目指すという。現在、すでに300万種類の種子が保存されている。米と麦に限っても20万種類を超える。

<22-21>下流社会(三浦展)

山の手というのは、文字通り山の方、丘の方である。丘の上には支配階層が住む。どこの国でも上流階級は高いところが好きだ。山の上、丘の上に住む。アメリカならビバリーヒルズ。パリならモンマルトルの丘。丘がなければ高層マンションを建てて、最上階に住む。六本木ヒルズも同様である。

<22-22>医師がすすめる50歳からの肉体改造(川村昌嗣)

ビールの本場、ドイツでは、ビールを日本のように冷やして飲む習慣はありません。なぜなら、味がわからなくなるからです。

<22-23>おしゃべり・雑談のおそるべき効果(川上善郎)

職種にもよりますが、勤務時間の半分はコミュニケーションに費やすといいます。特に職位の高い人は、1日の70%以上を人とのコミュニケーションの費やすといいます。

<22-24>食の堕落と日本人(小泉武夫)

文化人類学上で酒を持たなかったとされる民族、つまり酩酊することを目的にして穀物あるいは果実から酒を造ったことのない民族というのは、イヌイットが唯一である。

<22-25>料理の基礎の基礎 コツのコツ(小林カツ代)

タケノコのおいしいゆで方のコツは、気長にゆで、途中でゆで汁が少なくなったら何回でも水を足す。1時間半から2時間、竹串をさしてみてススーッと通るようになったら、たっぷりの水につけ、時々水をかえて冷たい水に一晩さらすと最高の味になる。