カキ

 家庭菜園を始めて8、9年ぐらいになる。ずぅーーと、気になっていた木がある。自然に生えてきたのであるが、カキの木のような気がしたので、そのまま大きくなるにまかせていた。おそらくカラスあたりが食べかけのカキの実を落としたのだろうと思われる。2年前に黄色い花が咲いた。花はカキの花(※)であるが、その花の元のところに実になるふくらみがない。不思議な花が咲くな? といぶかっていた。去年も花は咲いたが実はならなかった。やはりこれはカキの木ではなかったのか、という思いが強くなった。しかし、葉や花を見ると、やはりこれは紛れもなくカキの木である。そう確信し、切らずにいた。

 今年も去年と同じく花が咲いた。やはり、実になるふくらみがない。いよいよこれはカキの木でなく、撤去の対象かと思われた。そして、じっくりと、木全体を見渡してみると、木の先端近くに実がついているではないか。これにはびっくりである。あれだけ多くの花に実がつかなかったにも関わらず、枝の先端近くの花には実がついていたのである。家庭菜園を始めたころからあったので、やはり8年程度は経っているだろう。「桃・栗3年、柿8年」とはよくいったものである。さてどのような種類のカキが実るのであろうか? ぜひとも渋柿であってほしい。渋柿なら、干し柿にできる。甘柿だと、実った時期にすべて食べきってしまわなければならない。ジャムという手もないことはないが・・・。渋柿は干し柿にするという保存方法がある。じっくりと冬の間に味わうことができる。

 家庭菜園をやっていると、すべての野菜や果物を少しずつ長期間収穫したいという思いが強くなる。しかし、収穫は一時期に集中してしまうので、多く栽培すれば食べきれないし、少ないと食べるには物足りないということになる。そのため、大量に生産し、保存が利くというのが理想である。佃煮(フキ、ショウガ、トウガラシの葉)、ジャムやソース(イチゴ、ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリー)、漬物(ダイコン、キュウリ、ウメ)、天日干し(ムギ、ピーナツ、ショウガ、ウコン、サツマイモ、シイタケ、カキ)などは理想的な保存食である。根菜類(ニンジン、ダイコン、サトイモ、ヤマイモ、ウコン)は土に埋めて越冬させることができる。

 このように保存し、長期間にわたりじっくりと味わうという楽しみがある。カキは渋柿に限る。きれいに皮をむき、紐に吊るし、甘くなるのをじっと待つ。時々もみほぐし、柔らかくジューシーに仕上げる。とろりとした干し柿を食べるのは何とも言えない喜びがある。ちょっと渋めの煎茶と合わせればさらに旨さが引き立つ。ただ残念なのは、せっかく実が付いたカキであるが、品質としては最下位のものである。実は小さく、種ばかり(確実に5個は入っている。最多で8個)である。したがって、食べるところがほとんどない。手間暇がかかる割には得るところが少ない。これではちょっと役不足である。そこでもう一役担ってもらうことにした。真夏に木陰を提供してもらうのである。わがアトリエは、真夏の太陽が照りつける日中は40℃を超える。ほとんど蒸し風呂状態になる。そこで、実は貧弱でも葉は豊富な枝をアトリエの上全体へ伸ばしてもらうのである。これで何とか夏の暑さをしのごうと一生懸命になっているところである。あまり多くの実を付けなくてもいいから、早くアトリエの上全体を覆ってほしいものである。これで夏の暑さが少しでも和らげば幸いである。しかも木陰という情緒も感じられる。冬には葉が落ち、太陽がいっぱい降り注ぐので合理的である。ただ、枯れ葉がアトリエのトユを詰まらせるのが難点である。

※カキには1本の木で雄花と雌花が咲く種類があるらしい。わが家のカキはその種類であると思われる。

 

<雄花?>

 

<初めての実>

 

<干し柿用に枝付きで収穫>

 

<甘さ増量中>