カマキリ(その4)

 毎年わが菜園内には、数匹のカマキリがせっせと害虫を食べてくれている。数匹ではなく、多くのカマキリが生存しているのかもしれない。たまたま目に付くのが数匹なのかもしれない。ただじっと枝や葉に止まり、植物と一体になった姿をよく見かける。獲物が来るのを待っているのか、それとも狙いを定めて一気に捕食に向かうところなのかはわからない。飛んだり動き回っている姿はほとんど見ない。

 そんなカマキリも晩秋になると姿を消す。代わりに枝や支柱に薄茶色をした卵を発見する。卵といっても、発泡スチロールの塊のようなものに包まれている。毎年1、2個は発見する。見つければ大事に菜園内の安全な場所へ移動させている。わが菜園内では害虫退治の大事な戦力なのである。十分に気を付けているのであるが、トマトやヤマイモのつるなどに産卵していると、気が付かずに撤去している可能性もある。この一つの塊から大量のカマキリが誕生すると思うと、非常に大きな損失になる。今年も卵の塊を発見した。そして、大事に安全場所へ避難させた。ここなら春までじっくりと育つことができ、その後の活躍を大いに期待できる。

 カマキリの卵に関して、かつて何かで見た記憶がある。雪深い地方では、カマキリがその年の降雪量を予測して、卵が雪に埋まらない高さに産み付けるという。そんな能力はないとは思いつつも、自然を敬ういい話だなと思わずほっこりとしてしまう。ところで、わが菜園で見つかった卵は、地上から1m程度のところであった。もしカマキリの能力が本物なら大変なことになる。

 この一塊の卵から何匹の子カマキリが誕生するのか? この数によって、わが菜園内の害虫の増減が予測される。最も影響を受けるのがトマトである。ピーマン、オクラやダイコンも影響を受ける。トマト、ピーマンはタバコガの幼虫に穴をあけられる。ダイコンはアオムシである。直植えなので、発芽してすぐにアオムシに食べられると葉が無くなってしまう。トマトは毎年大量に作るのであるが、その多くがタバコガに穴をあけられる。それでも数年前、ほとんど穴をあけられなかったことがある。これはおそらく、カマキリが成虫のタバコガをすべて捕食してくれたおかげではないかと思っている。わが菜園の収穫量は、カマキリの存在にかかっている、といってもいいくらい大きな影響を及ぼす、と信じたい。今年もこのカマキリの卵から何匹の子カマキリが誕生するか楽しみである。