コルク栓

<コルク栓は2段になっているが、我が家の消費からすればほんの一部である>

 ワインの多くはコルクの栓がされている。そのコルク栓にもいろいろな種類がある。天然コルク、テクニカルコルク、コルクくずの合成コルク、合成樹脂コルク等である。天然コルクはコルク樫の樹皮をくりぬいて作られたもので、最も高級感がある。長さは3~6cmくらいである。通気性があるので長期保存用には長いものが使用されることになる。わが家で飲むワインは安物が多いので短いものが多い。

 コルク栓で興味深いのは、その表面がきれいな模様で刻印されていることである。それぞれのワイン特有の模様である。絵であったり、幾何学模様であったり、文字であったりする。栓という表面からは見えない部分であるにもかかわらず趣向を凝らしている。「江戸の粋」のような感じを受けるが、偽物防止の意味があるらしい。

 そんなきれいなコルク栓であるが、最近ではスクリュー栓が増えてきたように思う。ニュージーランドではほとんどがそれらしい。ワインと言えば、やはり、ソムリエナイフを用いて厳かに栓を抜くところに価値がある、ように思える。同じワインをスクリュー栓の瓶とコルク栓の瓶に入れたものの2種類を作る。それぞれをテイスティングしてもらったところ、コルク栓の方がおいしいと感じた人が多かったというテストがあるらしい。それほどコルク栓というのは味に影響を及ぼすのである。

 評価の低いスクリュー栓であるが、これだとブショネが発生しないという利点がある。さらに、通気性をコントロールすることもできるという。こうなってくると、コルク栓以上に長期保存に向いているということになるのだが・・・。

 レストランでのソムリエによる厳かな儀式をうまく否定できれば、スクリュー栓がもっと一般化することになるだろう。わざわざ客の前で栓を抜かずに、厨房でデキャンタしたものを出すようにすればいい。その方が香りや味もよくなり一石二鳥である。レストランで高級なワインを頼んだとしても、1本1万円程度であろう。この原価は3,000円程度である。さらに安いワインを注文すれば、原価は1,000~2,000円程度である。その程度のものにこの儀式は大げさすぎると思うがいかがだろうか。それをするくらいなら、メインの神戸牛のステーキを厳かにテイスティングさせてもらいたい。

 スクリュー栓が一般化すると、コルク栓は絶滅してしまうことになる。そうなったとき、これらのコルク栓は、わが家のアトリエから博物へと展示場所を変えることになるだろう。