ヒマワリ

 ツール・ド・フランス(夏のフランスで行われる世界最大の自転車レース)は3週間かけてフランス国内を1周する。これを見ていると、フランスが自然豊かな農業国であることがよくわかる。小麦、牧草、ブドウ、そしてヒマワリが広大な畑一面に栽培されている。中でもヒマワリの美しさは言葉では言い表せないくらいみごとである。映し出されるのは、せいぜい十秒間程度であるが、ほとんどすべてのヒマワリの花が、こちら側を向いているのである。もちろん映像として使用するわけであるから、裏側を向いているような映像は使用できない。これだけの花が一定方向を向くということは、それなりの理由があるものと思われる。調べてみると、いろいろと理由が説明されていたが、今一つ納得できるものが見当たらなかった。そうなると、実際にどの方向を向くかを検証してみる必要がある。ただ栽培するだけでは楽しみが足りない。同じ栽培をするなら、もう少し実益がある方がいい。そこで選んだのが、大型のヒマワリ(※)である。これなら、花が咲いた後、大きな実が収穫できる。そして、その実を食べることができる。数年前のことになるが、ヒマワリを育ててみた。苗は10本。どんどん大きくなり、最終的には2mくらいになった。花も大きく直径が20cmくらいあった。その花の中に種がびっしりと埋っている。実をつまみに美味しい焼酎を飲むのを楽しみにしていたが、思ったほど大きな実ではなかった。花の中心部分と外側では大きさに差はあるが、大きいものでも食べるほどの大きさではなかった。ヒマワリ油にはリノール酸やオレイン酸、ビタミンEが多く含まれているというが、これらを絞って油を取るには量が少な過ぎた。結局実益の方は収穫なしということになった。そうそう、花の向きについて調べていたのであった。これは見事に10本すべてが東側を向いた(数年前のことで、写真がないのが残念である)。こうなると、やはり、ヒマワリの花は一定方向を向くということを信じるしかない。なぜ、東側かということはよくわからないが・・・。

 ヒマワリの葉には小さな虫(ハダニ)が多く付着し、触れると一斉に飛び立つ。それが非常に気になった。遠くから眺めるにはきれいな花であるが、近づいて見る花ではない、ということを知った。

 近所に住むおばあさんからひとこと。「私はあのヒマワリの花に嫌われているのよねー。ずっとお尻をこっちに向けて、きれいな花は一度も見せてくれないから」 なるほど、花が東を向いて咲いているので、わが菜園の西側にある民家からは、花のお尻しか見えない。自宅や、菜園でヒマワリを栽培するときは、植える場所を十分検討しなければならない。そうしないとお尻ばかりを眺めることとなり、花を見ないまま終わることになりかねないからである。いつかは食用ヒマワリの種で美味しい焼酎を、と思っているが、狭い菜園ゆえ場所の確保ができないでいる。

 

※ 花が大きいだけではだめで、食用ヒマワリという品種でないといけない。その花は直径が30cm程度あり、有名種苗会社から発売されているのを後日知った。