12.常識

 今回はちょっと内容が内容なため、読んだあとからでは遅いので、出てくるキーワードを記しておくことにする。「痔」、「湿疹」、「虫歯」、「歯周病」が順次出てくる。あまり響きのいい単語ではないが、結構いい話もあるので我慢のできる方はぜひ読んでいただきたい。日常当たり前のように行っている行為が、実はとんでもない間違いであるということを最近考えるようになった。過去のものも含めて列記してみる。

 まず、「痔」であるが、これは社会人になって数年たったころ、職場の先輩が痔の手術をされ、見舞いに行ったときのことである。「痔という漢字はヤマイダレに寺と書く。これは死ぬまで付き合うという覚悟がいる病気だ」、ということを言われた。そんなにも大変なこととは知らず、廊下の向うから数人が痛そうに足を引きずりながら、ロボットのように歩くその動きの緩慢さを見て、笑いをこらえるのに苦労したことを覚えている。当人が医者に言われた言葉をそのまま記すと「傷口に便をこすり付ける人はいないでしょう。即座に洗浄式便座を取り付けなさい」、ということであった。なるほど、毎日傷口に便をこすり付けているのでは、治る傷も直らないのは理解できる。当たり前のように行っていることも、見方を変えればそんな危険なことをしているのかという思いがした。予防と衛生面から自宅には直ぐに取り付けたが、当時の会社や公共の場にはまだ全く設置されていなかった。その後しばらくして、会社でもテスト的に導入されたが、その使用率は他の便座の数倍高かったのを覚えている。ようやく最近では、公共の場でも当たり前のように取り付けられるようになった。私の常識から遅れること数十年である。

 続いて、「湿疹」についてである。原因不明の湿疹が腕に出たとき、医者に言われた言葉である。「皮膚が炎症を起こして湿疹ができているのもかかわらず、そこを爪で掻くというのはとんでもないことである。切り傷のあるところを爪で掻きますか? 皮膚に傷をつけ、雑菌が入ることでさらに炎症をひどくするのですよ」、と言われた。これもなるほどと納得をするしかない。しかし、痛みを我慢することはある程度可能であるが、かゆみを我慢することはほとんど不可能に近い。理屈は理解できるが・・・やっぱり掻いてしまう。かゆみ止めといわれる薬で効いたためしがない。したがって、かゆみは我慢せず、掻くのが常識である。

 最後は歯である。歯医者にはおよそ5年周期で通っていた。痛みや自主性を持って通っていたのではない。だいたいこの周期で、歯の詰め物や被せてある金属が外れて歯医者へ行くことになる。そうすると親切にもあちこちすべての歯を点検してくれる。そして、2~3本が虫歯であることが発覚する。このようにして、5年程度の周期で歯医者通いをすることとなる。歯の治療はとにかく痛みがともなうのと治療期間が長いのが難点である。最近の治療は、痛みが出そうな場合は早めに麻酔を打つので、いくらか心配項目から外すことができるようになった。しかし、虫歯になった部分は、削り取るというとんでもない作業を繰り返しているにもかかわらず、そのことをよしとしてきたことが情けない。それを放っておけばどんどん拡大するから、今のうちに削り取ってしまおうということである。歯もからだの一部分である。もし、これが指先であればどうするか。放っておけばどんどん腐ってくるので、今のうちに切ってしまおう、ということになれば、もっと予防について真剣に考えるだろう。歯については、予防をそれほど徹底していなかったことが恥ずかしい。削れば済む、金属を被せればよい、差し歯、入れ歯、インプラントもある。見えるところではないし、十分役目は果たしてくれるということで、まあいいか、ということになってしまっていた。もっと恐ろしいのは歯周病である。骨まで溶かしてしまうとなれば、インプラントもできない。歯を失う原因としては、虫歯と並んでいるらしい。素人の手入れだけでは限界があるので、ここ数年は2か月に一度、歯科医で点検してもらっている。個人的には、虫歯予防だけでなく歯周病予防の歯磨き(歯茎磨き)もしている。今使っている電動ハブラシは30秒毎に間欠動作をし、使用時間の表示が出るので便利である。ただ、使い方で一つ疑問がある。それは、通常のハブラシと同様にゴシゴシと動かしてしまうことである。電動で毎分1万回転という速さで動いているにもかかわらず、わざわざ手動で忙しく動かすのは邪道ではないだろうかと悩んでいる。決して電動の速さに対抗しようとしているのではない。回転と往復運動の相乗効果を期待しているのでもない。しかし、気が付くとまた、ゴシゴシ・・・。さて、電動ハブラシはどのように使うのが常識なのだろうか?