30.解説

 沙羅ちゃん、美帆ちゃん、奈緒ちゃん、メダル獲得おめでとうございます。その他のメダリストの皆さんもおめでとうございます。スポーツは好きでよく見る。特にオリンピックは最高のスポーツを見ることができる。しかし、現場で直接見ているわけではないので、映像とともに音声である解説が伴う。解説の難しさは2種類あるように思う。映像がない場合の解説をどのようにするか。もう一つは、映像を伴っているがそれをどう表現するか。これらについて考えてみたい。

 まず映像がない場合である。テレビとラジオを比較するとわかりやすい。野球の場合であれば、映像がなくてもアナウンサーの説明を聞き、解説者の話を聞くと、大まかその場面を想像することができる。解説が非常に効果的で有効なスポーツである。これがサッカーとなるとそうはいかない。映像がなければ、いくら一生懸命解説されてもさっぱりわからない。動きが早すぎるのと、各選手の位置が一定していないことにも原因がある。アナウンサーや解説者の声の状態でゴールに近いのか、シュートを打ちそうなのか程度しかわからない。戦略や駆け引きのようなものが見えてこない。野球と違って、映像がなければほとんど伝わらないスポーツである。かつて、サッカーをラジオで聞いたことがあるが、まったく面白くなかった。

 映像があればすべてうまくいくかとなるとそうでもない。以前からどうしても違和感をぬぐい切れないスポーツがある。フィギュアスケートである。アナウンサーはほとんど最初と最後だけで、あとはすべて解説者といわれるかつての選手が技の名称を連呼する。「アクセル」「サルコウ」「トーループ」「ルッツ」「フリップ」、といった技の前に回転数を付け加える。「ダブルアクセル」「トリプルルッツ」といった具合である。これに何の価値があるのか全く分からない。アナウンサーでは見た瞬間に技の種類と回転数まで見分けられないのだろう。仕方なしに解説者を呼ぶことになる。しかし、見ている側からすると、この技の連呼は何の役にも立たない。もう少し解説の内容に工夫が必要なのではないだろうか。

 フィギュアスケートの解説者にぜひ聞いてもらいたいものがある。それは、スノーボードのスロープスタイルの解説である。「レギュラースタンスでスタートです。レールを飛び越えてのインディーグラブ。ここも完璧なスイッチバックサイドのトゥエルブシックスティグラブ。トリプルコークフォーティーンフォーティ、完璧です。スイッチのファイブフォーティ。アップサイドセブンフォーティ。マウントサイドファイブフォーティ。バックサイドセブンツー。フロントサイドフリーシックスティテイルフィッシュグラブはかっこいいんです」(聞いたままを記述したつもりであるが、間違っているところがあるかもしれない) さて、これを聞いて「すばらしい」と思うのか、それとも「何のことかさっぱりわからない。もう少しわかりやすい解説をしてもらいたい」と思うのか? 「すばらしい。もっと自分も近づきたい」と思われたのでは救いようがないのであるが・・・。

 それにしても最近の採点競技は動きが複雑すぎて、とても人間技とは思えない。体操、フィギュアスケート、スノーボードのスロープスタイルやハーフチューブなどはほとんど興味がわかない。何とかこれらに興味が湧くような解説方法を確立してもらいたいものである。

 これを書いている最中に女子団体パシュートが金メダルを獲得した。おめでとうございます。一糸乱れぬ滑りを見ていると、ジャコウネズミの行進を見ているようで、感動とともに心を和ませてくれる。

 あっ、そうそう、大事なことを忘れていた。「そだね~ ジャパン」ガンバレ!!