その15
<15-1>人生、ぐうたらに徹すべし(遠藤周作)
ある年齢を過ぎても権力や地位の獲得に夢中になれる人はよほどの無神経か、人生によほどの自信がないのかの、いずれかだと私は思っている。「人生によほどの自信がない」というのは、彼にとっては生活がすべてで、人生と生活とは同じようなものだ、と考えているからだ。そして老いが来て孤独になったあと、(私をして言わしむれば)その不安を誤魔化すために、生活的権力や地位にしがみつこうとするのだろうと思う。
<15-2>今さら聞けない科学の常識(朝日新聞科学グループ)
意外なことに、木枯らし1号は例年、東京と大阪でしか吹かない。西高東低の気圧配置になると、大陸から冷たい季節風が日本列島に吹きつけるから、全国どこでも冷たい強風が吹きそうなものだが・・・。実は、「木枯らし1号が吹いた」と発表しているのは、全国で東京の気象庁と大阪管区気象台の2ヶ所だけなのだ。
<15-3>安全と安心の科学(村上 陽一郎)
文明が初期の段階ある社会では、人々の主たる死因は消化器系の感染症になる。第二段階では、それは呼吸器系の感染症に移行する。第三段階では、生活習慣病がそれにとって代わる。第四段階が最終段階となるのですが、それは社会との不適合である。
<15-4>炭水化物が人類を滅ぼす(夏井陸)
パンダがもともと肉食であったことは、腸管の構造からほぼ確実とされている。それにもかかわらず、竹だけ食べて生きていけるのか長らく謎とされていた。その謎が解明されたのはここ数年のことだ。パンダの消化管内から、他の草食動物の腸管内に生息しているのと同じセルロース分解菌が発見され、竹食で生きていけるメカニズムが解明されたのだ。ちなみに、パンダの腸管内の細菌のうち、13種は、すでに知られているセルロース分解菌であるが、7種はパンダに特有の細菌と報告されている。
<15-5>10年後の自分が見えるヤツ、1年後の自分も見えないヤツ(落合信彦)
ユダヤ人の格言にある。「お金を失っても何も失わない、勇気を失ったら命を失う」と。勇気というのは誇りであり、名誉であり、自分の信ずることのために戦える勇気です。
<15-6>クラウド・コンピューティング(西田宗千佳)
ムーア氏のキャズム理論では、ハイテク機器を受け入れやすいアーリー・アダプターズと、その下に位置し、普及を支える「アーリー・マジョリティ」の間に、大きな断絶があるとしている。この断絶が「キャズム」だ。キャズムを乗り越えない限り、どんなに優れたものでも一部での利用に止まり、広く普及することはない、というのが、ムーア氏の説である。
<15-7>人の性格はDNAで決まっている(中原英臣、佐川峻)
科学的な性格分析とは、具体的には一体どのようなものなのでしょうか。簡単に言うと、性格のアクセルとなる「ドーパミン」と、性格のブレーキ役を果たす「セロトニン」という脳内物質から、4つの性格タイプに分ける手法です。①楽観・新奇性型(2割り前後) ②慎重・新奇性型(4割り前後) ③楽観・じみち型(1割強) ④慎重・じみち型(3割強)
<15-8>経営者の条件(大沢武志)
高度な知的能力としての推理能力においてより優れた資質を有する人のほうが、経営管理者として成功する可能性が高いこと、そして、性格面においてはより情緒的に安定している人、より社交的な人の方が経営管理者として成功の可能性が高いということである。
<15-9>ゴーン道場(カルロス・ゴーン)
経営者は常に失敗しています。それを認識していれば、是正もできる。無視すると、もっと大きな失敗が待っている。子供は字を習う時、ペンではなくて消しゴムで覚えるんですよ。何度も消しては正しくなるまで書く。失敗は学習の本質です。失敗を好きな人はいない。繰り返したくないから学習するんです。
<15-10>神の手の提言(福島孝徳)
”脳腫瘍”については、レベル5~6以上の手術は、ほとんどの日本の脳外科医には難しいと思います。私が名前を挙げられる脳腫瘍手術の名医は、日本全国8000人の脳外科医の中で数人、また現在の日本の脳外科学会で、私が脳腫瘍手術の専門医として評価できる教授は、正直申し上げて、80大学の中で5人くらいです。残念ながら残りの方は脳外科の教授であっても、レベル7~10の難しい脳腫瘍の手術をするのにはふさわしくないと言わざるをえません。
<15-11>負けに不思議の負けなし(野村克也)
指導というのは根競べですよ。もちろん、強制的にやろうと思えばできます。だけど、赤カブと同じで、表面だけ赤くて中は白いです。
<15-12>実践する経営者(P・F・ドラッカー)
コスト削減のためにリストラすることは前後を誤っている。コスト削減の唯一の方策は、仕事を改革することである。結果として、仕事をする人の数を減らすことができる。いかなる人員整理計画よりも大幅に人を減らすことができる。
<15-13>こうすれば家賃・テナント料は必ず下がる(佐藤幸平)
継続賃料と新規賃料の矛盾をいかに早期に解決するか、これが古い賃貸物件にとって最大の課題になってくるでしょう。
<15-14>世界の野菜を旅する(玉村豊男)
トウモロコシの栽培を熟知したインカ帝国の農民は、トウモロコシのまわりにかならずインゲンマメを植えたという。インゲンマメの蔓はトウモロコシの茎に巻きついて高いところまで伸びて太陽をいっぱいに浴び、インゲン豆の根につく豊富なバクテリアが土壌を豊かにしてトウモロコシを育てるという、最近話題になっている「コンパニオン・プランツ」の発想である。
<15-15>社長!決算書のココを読みなさい(日野上輝夫)
脱税は必ずといっていいほど発覚し、重加算税35%と延滞利息14.6%をプラスして納税することになる。脱税金額が大きいと裁判で必ず罰金がつく。この追徴税には地方税が入っていない。このため法人税や所得税に地方税、重加算税、延滞税を加えると、実に80%以上にもなる。
<15-16>沈みゆく大国アメリカ(堤未果)
実は外資系製薬業界にとって、日本が10兆円の巨大市場を提供するすばらしい国であることをご存じであろうか? 私たちは、世界人口のわずか1.6パーセントにもかかわらず、世界の薬の4割を消費するともいわれる超優良顧客なのだ。
<15-17>最後の2年(浅井隆)
国家破産時代に生き残るのは外貨を稼げる産業だけだと考えていいと思う。そして一番危ないのは、日本人だけを相手にした仕事である。紙切れとなった円を稼いでも生活は到底成り立たないからだ。
<15-18>野菜が壊れる(新留勝行)
牛の第一胃の容量は胃全体の8割を占め、大きな牛だとドラム缶ぐらいありますから、メタンの量も比べ物になりません。家畜によるメタン発生は温室効果ガスの5%を占め、その2割近くが牛によるものだそうです。
<15-19>人生に打ち勝つ野村のボヤキ(野村克也)
プロとは人が気付かないことに気付くものをいう。気付きが他人と同じ程度であるうちはプロではない。
<15-20>持ち株会社がわかる本(丹羽哲夫)
特定会社の発行株式の過半数以上を所有することにより、事業活動の基本方針への関与・会長及び社長以下の人事権だけでなく、会社の売却・他社との合併などの決定を左右することを可能にする。
<15-21>食い道楽ひとり旅(柏井壽)
かつて博多の人々は「だぢづでど」の発音が苦手で、「らりるれろ」になってしまったのだそうだ。かど、が、かろ、に、うどん、が、うろん、になったのだという。和歌山の人は「ざじずぜぞ」が「だぢづでど」になると聞いた。長い間、和歌山の人は「ざじずぜぞ」の音を発することがなく、したがって誰もその音を聞いたことがなく、だから誰もが「ざじずぜぞ」と聞いても、その音を発音できなかったのだろう。
<15-22>イワシはどこに消えたのか(本田良一)
日本近海では「寒冷な海」になると、マイワシが増えて、カタクチイワシが減る。カリフォルニア、ペルー沖では逆に「温暖な海」になると、マイワシが増え、カタクチイワシが減る。アリューシャン低気圧が強くなると、日本近海は「寒冷な海」になり、カリフォルニア、ペルー沖では「温暖な海」になる。太平洋の東西で、海の状況は反対になる。ところが、太平洋の東西で、海の寒暖に対するマイワシと、カタクチイワシの増減は逆の反応を示す。この結果、太平洋の東西でマイワシの増減が同調するのだ。
<15-23>デフレとお金と経済の話(森永卓郎)
みんなが乗れる最後の成長産業が携帯電話だと、私は思っています。今後、目に見える携帯電話のような巨大産業は当分の間、現れないと思っています。なぜなら、「基礎技術開発の失われた25年」が存在するからです。
<15-24>分社経営の実際(遠藤泰弘)
かつて、この出向制度が十分な効果をあげなかった原因は、①出向元で定年間近の高齢者や雇用調整対象者のはけ口として利用したこと②出向者も左遷・追い出しとの意識を持ったこと③受け入れ側ではプロパー社員の昇進を抑えたり、出向者の天下り的態度によるあつれきが生じるなどモラールが低下したこと、などにあります。
<15-25>「交渉上手」は生き上手(久保利英明)
金平糖というお菓子は、芥子粒を核にして、そのまわりに砂糖の結晶が集まってあのようなかたちになる。実は、この形は結晶の完成形ではない。結晶化している途中で引き上げたものが金平糖と呼ばれる凸凹のあるもので、最後の形というのは丸い。丸く、かつ大きくなる。人間も、芥子粒で終わるか、とんがっただけで終わるのか、円形の大きな砂糖の塊に変わっていくか。