ストーブ
アトリエは冬になると10℃を上回ることはめったにない。寒いときは5℃程度になる。もちろんストーブは是非ものである。どんなものでもいいかというとそうではない。どうしても満たさなければならない条件というものがある。まず、部屋の温度を十分に上げることができ、かつ部屋の中央に設置できて音がしないこと。続いて鉄瓶で湯を沸かせることである。部屋の中央に設置し温度を上げるだけなら対流型ストーブで事足りるのである。しかし、鉄瓶で湯を沸かすとなると、いろいろと問題が出てくる。部屋を暖めるためにストーブの火力は最大で使用する。そうすると、ストーブ上部は高温になり、鉄瓶が沸騰を始める。こうなるとアトリエ内は結露で大変なことになる。安無精のアトリエは、窓だけでなく壁までびしょびしょになる。これでは壁際に何も置けなくなってしまう。火力を最大にしても鉄瓶を沸騰させない工夫が必要になってくる。ストーブの上部に、長さ100mmのボルトでアルミ板を固定する。高さを変え沸騰しない位置を探し出し固定する。これで常時鉄瓶をかけていても、沸騰させることなく適度な温度を維持できる。そして、このお湯を電気ポットで再加熱してコーヒーを入れるのである。ここでまたまた問題が発生する。せっかく入れたコーヒーも冬はすぐに冷めてしまう。ちょっと作業に没頭するとアイスコーヒーになっている。これを何とかしたい。鉄瓶にベストポジションを奪われているので、やや不利な場所ではあるが何とか高温を維持できるスペースを確保した。ここにアルミのお盆を取り付けた。こちらは高さではなく平行移動での温度調整を可能にするのである。高温で飲みたいときはストーブに近い位置、少し温度を下げたいときはやや離して置くことで飲みごろ温度にできる。コーヒーウォーマーの併設である。これで最初から最後まで自由な温度で美味しいコーヒーを飲むことができる。ここまでくると、さらに機能を追加したくなってくる。冬の風物詩である焼き芋を焼きたい。さらに長めのアルミ製お盆に交換し、ストーブの中心部へ差し込んで固定した。ストーブに近いところで2本の焼き芋ができる。焼き芋とコーヒー、結構相性がいい。
このストーブはわが家に貢献すること20年以上。自らはまったく問題を起こすことなく燃え続けている。ただ一度だけトラブルが起きた。2、3日使用すると火がつかなくなるのである。どうやっても火がつかない。分解して確認したところ芯の上部がガラス状でカチカチになっていた。ハンマーでたたき割りすべて取り除いて再組み立てをすると、数日は火がつくがその後はまったくつかなくなる。再度分解すると、やはり芯がガラス状のものに覆われている。灯油を変えたところこの問題は解決した。しかし、数度芯を修正したため短くなり、交換が必要になってしまった。こんな古いストーブの芯が果たして手に入るのだろうか? メーカー名と型番を調べホームセンターに問い合わせた。すると、数日で入荷するという。これにはびっくりである。その時は知らなかったが、調べてみるとかなり有名なストーブメーカーであることがわかった。今もこれとほとんど同じストーブが販売されているのを知って再度びっくりである。毎年新製品が登場する現在においても、いいものはいつまでも形を変えず存在し続けているのである。もちろんメンテナンスに必要な部品の供給も続けている。
すばらしいストーブのおかげで、アトリエがさらに暖かさを増すように感じられる。ただ、アトリエ中が焼き芋のにおいに占領されるのが難点である。