健康モップ

 

 夏になるとアトリエは想像を絶する暑さとなる。天井が低く、屋根と天井の空間が狭いため、屋根の熱さが直に部屋に伝わる。壁も薄く日が当たればその熱さが部屋に伝わる。6面体の建物で熱が伝わってこないのは、床と北側の壁だけである。とにかく熱いので、ドアと窓は常時開けっ放しである。少しでも風を入れて室温を下げたい、と思っているのであるが、実際には不思議なことに温度が上がっているのである。結果はそうであるが、やはり熱風でも風を入れたい。乾燥したコンクリートは、わずかに吹いた風でも砂埃が舞う。アトリエの床は低く、地面から20cmしかない。地上からの照り返しがきついだけでなく砂塵もよく入る。床は常時ざらざらしている。湿式のモップでしょっちゅう拭くのであるが、汗で湿式のモップがさらに湿式になる。床全体に汗を広げているようなものである。この状況を何とか打開しようと思案を巡らし、ようやく名案を得た。歩けば歩くほど健康になり、部屋もきれいになる。そして適度に汗が落ち、床がより一層きれいになる。何とも願ったり叶ったりである。使用したのは、健康サンダルとモップである。これらにマジックテープを取り付け、健康サンダルの裏にモップを取り付けた。この状態で歩くと足裏を刺激して健康になる(あくまでも個人の感想です)。モップが床のごみを吸着してくれる(これは事実です)。汚れれば取り外して洗濯が可能である。ここで重要なことは、健康サンダル側をマジックテープの「フック」、モップ側を「ループ」にすることである。こうすることで、洗濯時に他のものといっしょに洗っても傷つけることがない。とはいっても、これはよほどのことがない限り行ってはいけない。作業用のズボンといっしょに洗った時は、ズボンに糸くずが大量に付き、洗い直したことがあるからである。健康サンダルは、モップを付けてない時は履かないことである。フックが曲がり、モップの接着力が弱くなる。最近、暑さで創作意欲がわかず横になることが多いので、Tシャツにもモップを取り付けられるようにしようかと思っている。

 「暑い→ドア・窓を開ける→砂塵が入る→モップ付き健康サンダルで歩き回る→暑い」

という暑さの無限ループに陥っている。気が付いていながらやめられないのが情けない。自宅はエアコンで適温をキープしながら、アトリエでは40℃近い暑さを我慢する、という矛盾にもまだ答えが出ていない。アトリエ上部の一角にどっしりと構えたエアコンが、ちょっとむくれているように見えるのは気のせいだろうか。